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その後、お目当ての甘味処へ辿り着くと
アイツはそこの店主と、何やら親しげな様子で
「不死川さん、また来てくれたんだねぇ。そちらの、お連れさんは……もしかして、彼___」
店主が私を見つめ、そこまで話すと
アイツは店主の声に、被せるようにして口を開き
「い…妹だァ、変に…勘違いするンじゃねェ。」
「そうかい、可愛らしい妹さんだ。…妹さん、歳はいくつだい?____」
人柄の良さそうな店主に話を振られながら、席へと案内された後
目の前に座るアイツに対し、じとっとした視線を向けて
「おい、私はいつからお前の妹になった。」
そう尋ねると、アイツは決まりの悪そうな顔を浮かべながら
「お前…俺と変に勘違いされたくねェだろォ……妹の方が…まだいいだろォがァ…、」
視線を泳がせながら、そう話すアイツに対して
「ふざけるな、誰がお前の妹だ。お前の妹を名乗るくらいなら、姉を名乗る。…お前は弟だ、訂正して来い。」
「はァ…?俺がお前の弟ってのは無理あるだろォ…どう見ても、お前の方が小せェしよォ…」
「見た目で判断するな、精神年齢で言えば私の方が確実に上だ。お前は一生、五歳児だ。」
「誰が五歳児だァ…ふざけた事言ってンじゃ___」
そんな言い合いをしていると、頼んでいた注文が届き
先程の言い合いで、少々苛立っていたアイツだったが、おはぎを口にするとその苛立ちも消え
「(相変わらず…おはぎ、好きなんだな…。)」
そんな事を思いながら、私は手元に届いたあんみつを頬張った。
それから、先程の会話で一つ思い出した事があり、
「そう言えば…お前、弟いたんだな。この前、悲鳴嶼さんの屋敷で会った。お前とよく似て___」
すると、アイツは一瞬手を止めたかと思えば、静かに口を開いて
「…俺に弟はいねェ、」
そう告げて、黙々とおはぎを頬張った。
それ以上は…聞いて欲しくなさそうな雰囲気だった為
「そうか」と一言返し、その話はそこで終わった。
「(何か…事情があるんだろうな…、)」
そんな事を思いながら、あんみつを頬張っていると、先程の店主がやって来て
「妹さん、良かったらこれ食べておくれ。」
店主からサービスを受け取り、お礼を言った後
「…私は姉だ。コイツが私の弟だ、」
そう訂正したところ、またしてもアイツと言い合いになりはしたが、
その時食べたあんみつは、いつもより美味しく感じた。
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よっしー(プロフ) - はじめまして!実弥が好きでこの小説に出会い、春雷と星屑を一気読みしちゃいました!面白かったです!どちらの作品もすごく良かったので、また他の作品も楽しみに読ませていただきます!久々にキュンキュンしましたー✨ (9月29日 6時) (レス) @page50 id: 9a6c96b2f0 (このIDを非表示/違反報告)
Kk - この小説すべて読みました。とてもおもしろいです。よければ現代のほうも書いてください。まだまだ暑い日が続いてるので体調に気をつけて元気に過ごしてください (9月11日 15時) (レス) @page50 id: 51f0cf609d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雫 | 作成日時:2023年7月27日 0時