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それからの日々は、非常に幸せなもので
「お前そこ、字間違ってンぞォ」
「星宮じゃなくて『不死川』だろォ…早く直せェ」
初めのうちは、なかなかその苗字になれず…何度も紙を無駄にした。
街中で見知らぬ男に声を掛けられた時は、即座に彼が肩を抱き
「うちの『嫁』に何か用かァ…?殺すぞォ」
物凄い剣幕で男を蹴散らした後は、決まってこちらに視線を向けて「大丈夫か」と尋ねてくる。
そんな彼は…つい先日、自分が死んだ後の事について、私に話をしていて
『俺が死んだ後は…どっかの男と、所帯持ってくれても構わねェ。』
『お前はまだ若ェ、気立てもいいし…美人だからよォ…、嫁の貰い手なんてすぐ見つかる……。』
『だから、俺に縛られず…好きに生きていいからなァ』
そう…言ってはいたものの、
先程の事もあってか、彼は私の隣にピタリと張り付き
「絶対、俺の側から離れンじゃねェぞォ…」
私に目を向ける男がいるようであれば、突き刺すような視線を向け続ける。
「(私が他の男と籍なんて入れたら、実弥は本当に…耐えられるのか…?絶対、相手呪い殺しに来るだろ…。)」
そんな事を思いながらも、私は…生涯愛するのは彼だけだと既に決めていたし
「(実弥以上に…好きになれる奴なんて、今後現れないだろうからな…。____)」
そんな事を思いながら彼の手を取り、
「帰ったら…おはぎ作るから、餡子買い足さないとな。」
そう声を掛けると、先程までの殺伐とした空気が一変し
彼は嬉しそうな様子で「おう」と一言、返事をした。
この結婚生活に大した不満はないものの、
敢えて一つ…あげるとするならば
「一華ァ、風呂一緒に___」
「嫌だ」
私は風呂だけは一人で入りたい。理由としては、
「お前いると…お湯溢れる、寒い。それに、___」
はっきりとそう告げる中、彼は私の言葉を待たずして
半ば強引に私の腕を引き、風呂場へ直行。
そして湯船の中で、後ろから私を抱きしめながら
「うなじ…綺麗だなァ、___」
赤い痕をつけ始め、歯止めが効かなくなる。
気づけば私の目の前には、木目の天井が広がっており
「だから…嫌だって…言ったんだ…、お前のせいで…毎度のぼせる……気分悪い……。」
愚痴をこぼす中、彼は私の顔の前でぱたぱたと団扇を仰ぎながら
「次からは気を付けるからよォ…だから、明日も一緒に入ろうなァ。____」
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よっしー(プロフ) - はじめまして!実弥が好きでこの小説に出会い、春雷と星屑を一気読みしちゃいました!面白かったです!どちらの作品もすごく良かったので、また他の作品も楽しみに読ませていただきます!久々にキュンキュンしましたー✨ (9月29日 6時) (レス) @page50 id: 9a6c96b2f0 (このIDを非表示/違反報告)
Kk - この小説すべて読みました。とてもおもしろいです。よければ現代のほうも書いてください。まだまだ暑い日が続いてるので体調に気をつけて元気に過ごしてください (9月11日 15時) (レス) @page50 id: 51f0cf609d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雫 | 作成日時:2023年7月27日 0時