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後日、不死川は星宮の屋敷を訪ねるものの
「…悪いな、今から出掛ける。」
ここ最近、星宮は不死川の誘いを断り、外へと出掛ける事が多く
「(アイツ、いつも何処行ってンだァ…?)」
任務へと向かう道中、そんな事を思いながら歩いていると
「おい…不死川、俺の話を聞いているのか。」
共に任務へと向かっていた伊黒に声を掛けられ、不死川は咄嗟に「悪ィ」と一言返す。
伊黒は何処か上の空な不死川に対して、
「何かあったのか、俺で良ければ…話を聞こう。」
そう声を掛けてきた為、不死川は星宮との事について伊黒に話を持ち掛ける。
伊黒は不死川の話を聞き、「そんな事か」と告げたかと思えば
「浮気されてるんじゃないか、あの小娘に。」
「浮気…?それは無ェだろォ…、アイツに限ってそんな事___」
不死川がそう否定するものの、伊黒はネチネチと詰め入るようにして
「本当にそうか?あの小娘…一見無愛想だが、隊士からの人気は高いぞ。隊士の好意に絆され、他の男と隠れて会っている可能性は捨てきれないと思うがな。」
「お前は人が良すぎる…たとえ恋人であったとしても、もう少し人を疑うべきだ。」
淡々とした口調でそう告げられ、不死川はその言葉に受け入れ難い姿勢をみせるものの
「(いや…無ェだろォ…。…無ェ…よなァ…、)」
伊黒の言葉によって生まれた一抹の不安を拭うようにして、自分にそう言い聞かせていた。
それから、伊黒との任務を終えた不死川が自身の屋敷へと戻ると
玄関に星宮のものと思われる、靴がある事に気がつくと同時に
「(何だァ…?この甘い匂い…。)」
そんな事を思いながら、匂いが漂う方へと向かうと
「あ…お前、いつの間に帰ったのか。怪我は…してなさそうだな、」
「あァ、してねェけど…。お前、人の屋敷の台所で何してンだァ…、つーかどうやって入ったァ…?」
不死川がそう尋ねると、星宮は「隠に頼んで入れてもらった」と返答しながら、手元の餡をへらで掬い取る。
そして丸めたご飯を掬い取った餡で器用に包み、皿の上へと置いていく。
「…おはぎかァ、」
不死川はそう呟くと同時に、星宮の手元を覗き込むようにして側へと寄り
星宮はおはぎを作りつつ、側へと寄ってきた不死川を横目で見ながら
「(嬉しそうだな…、分かりやすい奴…。)」
そんな事を思いながら、指に付着した餡を拭うようにして口へと含んだ。
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よっしー(プロフ) - はじめまして!実弥が好きでこの小説に出会い、春雷と星屑を一気読みしちゃいました!面白かったです!どちらの作品もすごく良かったので、また他の作品も楽しみに読ませていただきます!久々にキュンキュンしましたー✨ (9月29日 6時) (レス) @page50 id: 9a6c96b2f0 (このIDを非表示/違反報告)
Kk - この小説すべて読みました。とてもおもしろいです。よければ現代のほうも書いてください。まだまだ暑い日が続いてるので体調に気をつけて元気に過ごしてください (9月11日 15時) (レス) @page50 id: 51f0cf609d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雫 | 作成日時:2023年7月27日 0時