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その後、不死川は屋敷の台所で炊事を進めていると
「…おい、」
背後から不機嫌そうな声が投げ掛けられたかと思えば、星宮はずかずかと不死川のもとへと迫り
「お前…これ、どうしてくれるんだ……こんな目立つもの付けられたら、外…出歩けないだろ…!」
怒りと別の思いが入り混じる中、顔を赤くしながら不死川へと訴える。
不死川は星宮の首筋につけた、赤い痕に目を向けながら
「いいじゃねェかァ…誰のモンだかすぐ分かってよォ」
悪びれる様子もなくそう告げた後
すぐさま手元の食材へと視線を戻し、それらを器用に切り落としていく。
「………、」
星宮は一旦口を閉ざしたかと思うと、不死川の背後から抱きつくようなかたちで手を回し
「…どうしたァ、構って欲しいのかァ」
そんな星宮の行動に対して、不死川が微笑ましい気持ちを抱いたのも束の間
星宮は骨を折る勢いで、ぎちぎちと不死川の身体を締め付け始め
「お前…全く反省してないだろ…、肋折るぞ。」
「オイ、何してんだァ…離せェ…、こっちは包丁持ってンだァ…危ねェだろォがァ……。」
不死川は星宮の腕から逃れようと抵抗するものの、一向に力が緩む気配がなく
不死川は咄嗟に口を開いて、
「肋折りやがったら…もうだし巻き、一生作ってやらねェからなァ…、」
若干脅すようにしてそう告げると、星宮は黙り込んだかと思えば、即座に手を離し
「…それは…困る……、」
不服そうな表情を浮かべながらも、呟くようにしてそう告げる。不死川はそんな星宮に対して
「分かったらお前は…大人しく自室で待っとけェ、なるべく早めに戻____」
そう声を掛けるものの、星宮は不死川の側にピタリと張り付き
「なァ…これ、味付け薄いんじゃないか…?もっと入れていいだろ。」
そう言って、手に取った調味料を乱雑に振り掛ける。不死川はすぐさまそれを奪い取り
「お前…何してんだァ、こんなに掛けるモンじゃねェ…限度ってモン知らねェのかァ…?」
叱るような口調でそう告げる中、星宮は全く聞く耳を持たず
「卵…もう一つ、入れた方がいいな。足りない、」
そう言って卵を足そうとするものの、力の加減が分からず…割った際に中身が弾け飛んでしまい
「…脆いな、腐ってたのかこれ。」
「ンな訳ねェだろォ…テメェの力が強すぎンだァ」
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よっしー(プロフ) - はじめまして!実弥が好きでこの小説に出会い、春雷と星屑を一気読みしちゃいました!面白かったです!どちらの作品もすごく良かったので、また他の作品も楽しみに読ませていただきます!久々にキュンキュンしましたー✨ (9月29日 6時) (レス) @page50 id: 9a6c96b2f0 (このIDを非表示/違反報告)
Kk - この小説すべて読みました。とてもおもしろいです。よければ現代のほうも書いてください。まだまだ暑い日が続いてるので体調に気をつけて元気に過ごしてください (9月11日 15時) (レス) @page50 id: 51f0cf609d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雫 | 作成日時:2023年7月27日 0時