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その後、不死川は星宮を屋敷の前へと送り届け
「…またなァ、」
名残惜しそうにしながらも繋いだ手を離し、自身の屋敷へ戻ろうとすると
「お前…明日、任務は。」
唐突にそんな事を尋ねられ、不死川は不思議そうな表情を浮かべながらも
「何もねェけど…、」
そう返答すると、星宮は少しの沈黙の後
「…私も…明日、任務…ない…。」
視線を泳がせながら、辿々しい口調でそう告げる。
その言葉に不死川が「そうかァ」と返すと、星宮は少し不服そうな表情を浮かべてはいたものの
「…またな、気をつけて…帰れよ。」
そう言って門をくぐり、屋敷の方へと歩き出す。不死川はそんな星宮の後ろ姿を見つめながら、
「(一緒に出掛けたかったのかァ…?今からでも誘___)」
そう…思いかけた時だった。
星宮の耳が赤く染まっている事に気がつく同時に、先程の言葉の意味を察し
屋敷の中へ入ろうとする、星宮の腕を咄嗟に掴む。
「なァ…今の、そういう意味かァ…?」
そう尋ねると、星宮は気恥ずかしそうな様子で
「……分かったら…早く、入れ…。」
目の前の不死川から視線を外しながら、呟くようにしてそう告げる。
不死川はそんな星宮を静かに見つめた後、掴んだ腕を一度離して
「本当に…いいのかァ、今なら…俺ァお前を此処に置いて…自分の屋敷に戻る……。けど…屋敷ン中に入ったら、俺ァ____」
すると、星宮は不死川の腕を掴んだかと思えば、強引に屋敷の中へと引き入れ
「ごちゃごちゃ言うな…、私はもう…覚悟決めてる…。」
いつになく強気な様子でそう告げる星宮を目にし、不死川は思わず笑みをこぼしながら
「お前…相変わらず、力強ェなァ…。悪ィ、俺も…覚悟決めるかァ___」
そう告げると同時に、星宮を軽々と抱き抱え
「お…重くないか…?無理…しなくても…、」
「ンな事ねェ…むしろ軽ィくらいだァ、ちゃんと飯食ってンのかァお前。」
不死川がそう尋ねると、星宮は少しムッとした様子で
「食べてる…、蜜璃と同じくらい…食べてる…。」
「そりゃァ…食い過ぎだァ、程々にしろォ」
そんな会話をしているうちに、部屋の前へと辿り着き
不死川は星宮の額に優しく口付けを落とした後、部屋の中へと足を踏み入れ、静かに襖を閉めた。
その日は互いの体温と鼓動を重ね、長い夜を過ごし
襖の隙間から日が差し込む頃には、互いに身を寄せ合い…深く、幸せな眠りへとついていた。
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よっしー(プロフ) - はじめまして!実弥が好きでこの小説に出会い、春雷と星屑を一気読みしちゃいました!面白かったです!どちらの作品もすごく良かったので、また他の作品も楽しみに読ませていただきます!久々にキュンキュンしましたー✨ (9月29日 6時) (レス) @page50 id: 9a6c96b2f0 (このIDを非表示/違反報告)
Kk - この小説すべて読みました。とてもおもしろいです。よければ現代のほうも書いてください。まだまだ暑い日が続いてるので体調に気をつけて元気に過ごしてください (9月11日 15時) (レス) @page50 id: 51f0cf609d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雫 | 作成日時:2023年7月27日 0時