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その後、雨が止むまでの間、悲鳴嶼さんと他愛もない話をする中で
悲鳴嶼さんは棚から本のような物を取り出し、持ってきたかと思えば
そこには私が鬼殺隊に入隊する数年前の、隊士たちが映った写真が載っていた。
写真を眺めていると、幼い顔立ちをした胡蝶さんと思われる人物が目に留まり
「え…これ、胡蝶さんですか…?今と随分、雰囲気違いますね…。」
そこにはいつもの笑顔ではなく、ムッとした表情で映り込む胡蝶さんの姿があった。
…それから胡蝶さんの事について、悲鳴嶼さんから少し話を聞き、
『カナエさん』という最愛の姉を亡くしてから、笑顔を絶やさず、蟲柱として剣を握り続けている事を知った。
写真に映る、仲睦まじい姉妹を眺めながら
「(この人が…カナエさん…、綺麗な人だな。)」
そんな事を思うと同時に、
今の胡蝶さんのあの笑顔は、カナエさんの笑顔を貼り付けているのだと、…何となくそう思った。
その後も、ページをめくっていると…今よりも少し幼い顔立ちをしたアイツの姿もあった。
胡蝶姉妹とアイツと、もう一人…優しそうな青年、四人が映っている写真を眺めていると
その写真を目にした悲鳴嶼さんが、口を開いて
「カナエは、無茶をする不死川の面倒をよく見ていた。」
「そんなカナエに…当時、不死川は想いを寄せていたな。」
昔を思い出すかのようにして、悲鳴嶼さんがそう話す。私はそんな悲鳴嶼さんの言葉を受け、
「(アイツも…そういう想いを、抱いたりするんだな…。)」
てっきり、アイツは色恋に一切興味がなくて
剣を振り続ける事しか、頭にないと思っていた。
勿論…今までアイツの浮ついた話は、一度も聞いた事が無く
アイツがどんな人を好きになるかさえ、私は知らなかった。
「(アイツは……大人っぽくて、上品で…笑顔を絶やさないような…そういう人が好きなのか。)」
「(私とは…正反対だな。____)」
そんな事を思いながら、静かにページを閉じ、それを悲鳴嶼さんへと返した後
「雨も止んだみたいなので…そろそろ失礼します。ありがとうございました、」
悲鳴嶼さんにそう告げて、岩屋敷を後にした。
雨は止みはしたが、未だに空は雲に覆われ、晴れる気配は全くなく
「(…何か…モヤモヤするな…、…。)」
何となく落ち着かない今の気持ちは、この憂鬱な天気のせいだと思い、
その時は深く考える事なく、自分の屋敷へと向かっていった。
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よっしー(プロフ) - はじめまして!実弥が好きでこの小説に出会い、春雷と星屑を一気読みしちゃいました!面白かったです!どちらの作品もすごく良かったので、また他の作品も楽しみに読ませていただきます!久々にキュンキュンしましたー✨ (9月29日 6時) (レス) @page50 id: 9a6c96b2f0 (このIDを非表示/違反報告)
Kk - この小説すべて読みました。とてもおもしろいです。よければ現代のほうも書いてください。まだまだ暑い日が続いてるので体調に気をつけて元気に過ごしてください (9月11日 15時) (レス) @page50 id: 51f0cf609d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雫 | 作成日時:2023年7月27日 0時