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その後、二人は縁側へと腰を掛けながらおはぎを頬張っていると
星宮は不意に、不死川からの視線を感じ
「…どうした、?」
不思議そうな表情を浮かべながら、そう尋ねると
「いや…可愛いと思ってよォ」
星宮を見つめながら、当たり前のようにしてそう呟く不死川。
星宮はそんな不死川の言葉に恥ずかしい思いを抱きながらも、少し視線を落として
「そんな事…言ってくれるの、お前くらいだ…愛想が悪いせいか、『可愛くない』って言われる事の方が多いからな…。」
「誰に対しても…愛想よく、笑えたらいいんだが…、」
何処か浮かない様子でそう話す星宮を目にし、不死川は口を開いて
「気にする事ねェだろォ…それに、俺はお前が他の奴に愛想振り撒いてるのなんて…見たくねェしなァ、」
そう告げた後、不死川は星宮の頭へと手を伸ばし
「お前は俺の前でだけ…笑っとけェ。いいなァ、」
優しい手つきで星宮の頭を撫でると同時に、穏やかな視線と表情を星宮へと向ける。
その後、不死川は湯呑みを手に持ったまま立ち上がり
「茶、入れ直してくるからよォ…それ寄越せェ。」
星宮から湯呑みを受け取り、一旦その場を離れる。
不死川が立ち去った後、星宮は先程の不死川の言葉や視線、表情を思い返し
「(顔…あつい…、落ち着かない…。)」
両頬に手を添え、熱が治まるのを待っていると、ふと…思い出した事があり
「(そういえば…アイツと…まだちゃんと、キスしてないよな…。)」
「(前は…咄嗟の勢いでしたから…、今度はちゃんと…恋人として___)」
「待たせたなァ、ほらよォ」
星宮がそんな事を思っていると、不意に不死川から声を掛けられ、思わず肩がビクりと跳ねる。
「…あり…がと、」
星宮は湯呑みを受け取り、茶を口へと含んだ後
同じく隣で茶を飲む、不死川の口元へと目を向けながら
「(なんて…言えば、いいんだ…?したい…って言えば、してくれるものなのか…?)」
頭の中でぐるぐると考えを巡らせていると、不死川から声を掛けられ
「どうしたァ…?難しい顔してよォ、」
星宮は考えを悟られないよう、咄嗟に口を開き
「い…いや、何でもない…。それより…そのおはぎ、美味しいか…?」
「あァ、美味ェ。ありがとなァ、一華ァ」
そう話す不死川に対して、星宮は「よかった」と返答しながらも
「…………、」
その後も一人で、何か考え込んでいる様子だった。
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よっしー(プロフ) - はじめまして!実弥が好きでこの小説に出会い、春雷と星屑を一気読みしちゃいました!面白かったです!どちらの作品もすごく良かったので、また他の作品も楽しみに読ませていただきます!久々にキュンキュンしましたー✨ (9月29日 6時) (レス) @page50 id: 9a6c96b2f0 (このIDを非表示/違反報告)
Kk - この小説すべて読みました。とてもおもしろいです。よければ現代のほうも書いてください。まだまだ暑い日が続いてるので体調に気をつけて元気に過ごしてください (9月11日 15時) (レス) @page50 id: 51f0cf609d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雫 | 作成日時:2023年7月27日 0時