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食事を終え、宇髄と甘露寺と別れた後
不死川は星宮の手を引きながら、屋敷へと送り届けていると
「お前…もう少し私に甘えてもいいぞ。お前は、私に気を遣いすぎだ。」
不意にそんな言葉を星宮から投げかけられる。不死川は少し考えた後で
「そう言われてもなァ…俺ァ長男だったしよォ、甘え慣れてねェ…つーか…、」
視線を下へと落としながらそう告げる不死川に対して、星宮は
「お前は優しすぎるから…少しは人に甘えて、我儘を言ってもいい。我慢ばかりだと…疲れるだろ、」
「それに私は…一応…お前の恋人、だし…。そうであれば、兄弟や姉妹とは違って、対等な筈だ。」
「だから、もう少し…お前は自分の気持ちを大事にして、何かあれば私にちゃんと言え。いいな、」
そう言った後、星宮は不死川に目を向けて、ふっと柔らかく微笑んだ。
その言葉を受け、不死川が温かい気持ちを抱く中、星宮は不死川の顔を覗き込みながら
「何かして欲しい事とかないのか。別に…今じゃなくてもいいが…、」
すると、不死川は呟くようにして
「……名前で…呼ばれてェ、」
そう告げる不死川を目にし、星宮は思わず目を丸くする。
「そんな事で…いいのか…?まァ確かに…お前の事、名前で呼ばないしな…分かった。」
そう言って、星宮は不死川と視線を合わせ、名を呼ぼうとするが
「……思ったより…あれだな、…。」
思いの外、その一言が出てこず
「…呼んでくれるンじゃねェのかァ、」
不死川が少し不服そうな表情を向けると、星宮は少しの沈黙の後で口を開き
「…さ…、…さね、み…。」
「…聞こえねェ、」
「さ…実弥、」
先程よりもはっきりとした口調で名を呼ぶと、不死川はそんな星宮の言葉に返すようにして
「 一華 」
穏やかな視線と表情を向けながら、星宮の名を呼んだ。
改まった様子で名を呼ばれ、星宮は少し気恥ずかしそうな表情を浮かべたかと思えば
不服そうな目を不死川へと向けて、
「なんか…お前、ずるくないか。お前は私の名前…呼び慣れてるだろうけど…私は___」
「知るかァ…そんなの。お前が早く慣れればいい話だろォ…今度から名前で頼むなァ」
そう被せてくる不死川に対して、星宮は納得いかない様子ではありながらも
「……まァ、努力は…する…。」
そう言って、繋いだその手をきゅっと握りしめた。
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よっしー(プロフ) - はじめまして!実弥が好きでこの小説に出会い、春雷と星屑を一気読みしちゃいました!面白かったです!どちらの作品もすごく良かったので、また他の作品も楽しみに読ませていただきます!久々にキュンキュンしましたー✨ (9月29日 6時) (レス) @page50 id: 9a6c96b2f0 (このIDを非表示/違反報告)
Kk - この小説すべて読みました。とてもおもしろいです。よければ現代のほうも書いてください。まだまだ暑い日が続いてるので体調に気をつけて元気に過ごしてください (9月11日 15時) (レス) @page50 id: 51f0cf609d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雫 | 作成日時:2023年7月27日 0時