手紙 ページ15
***
その後、星宮は引き出しからとある手紙を取り出し
「これ…父さんから、お前に。半年前くらいに預かって…渡すの忘れてた。屋敷来たついでに受け取れ、」
そう言って、その手紙を不死川へと差し出す。
「(アイツが俺に…?どういう風の吹き回しだァ…、)」
不死川は怪訝な表情を浮かべながらも、その手紙の内容に目を通した瞬間
思わず顔を上げて、星宮にじとっとした目を向ける。
「お前…このタイミングで、これ渡すかァ…普通…。」
そう呟く不死川に対し、星宮は不思議そうな表情を浮かべながら
「何だ…?呪い殺すとでも書かれてたか?父さんは…お前の事、好いてなかったからな。」
星宮はそう言った後、何か思い出すようにして
「そういえば…お前、私の母さんに手出そうとしたって話…本当か?前に父さんがそう言って___」
「ンな訳ねェだろォ、親父の勘違いだァ……ったく…あの野郎…。」
苛立ちながらも、不死川はふたたび手紙へと視線を落とし
「(あの親父…こんな手紙俺に宛るンじゃねェ…、もう遅ェんだよォ…。)」
不死川が受け取ったその手紙には、
『娘に手を出したら殺す』という内容が、長々とした…堅苦しい文章で綴られていた。
不死川はその手紙に、呆れた視線を向けながらも
「(アイツ…家族の事は、大事に思ってたンだなァ…。)」
そんな事を思いながら、似た内容が書かれた手紙を読み続けていると、最後の方に
『もしこの先…一華がお前といる事を望むのであれば 』
『その時は、不本意ではあるが…一華に免じて、お前を認めてやってもいい。』
『ただ、一華を傷つけるような事があれば…その時はお前を呪い殺す。覚悟しておけ、___』
不死川はそう綴られた文字を眺めた後、
「(ったく…余計な心配しやがってェ…、___)」
静かに手紙を閉じ、目の前にいる星宮へと視線を移す。
「 なァ、一華 」
そして、改まった様子で星宮の名を呼んだ後
「お前の事…今まで以上に、大事にする。」
真っ直ぐな視線と決意を向けながら、不死川は柔らかく微笑んだ。
そんな不死川を目にし、星宮は少し照れくさそうな様子ではありながらも
自身を想う不死川の言葉と…その表情に、返すようにして
「私も…、お前の事…大事にする…。」
柔らかく、幸せそうな笑みを浮かべながらそう告げた。
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よっしー(プロフ) - はじめまして!実弥が好きでこの小説に出会い、春雷と星屑を一気読みしちゃいました!面白かったです!どちらの作品もすごく良かったので、また他の作品も楽しみに読ませていただきます!久々にキュンキュンしましたー✨ (9月29日 6時) (レス) @page50 id: 9a6c96b2f0 (このIDを非表示/違反報告)
Kk - この小説すべて読みました。とてもおもしろいです。よければ現代のほうも書いてください。まだまだ暑い日が続いてるので体調に気をつけて元気に過ごしてください (9月11日 15時) (レス) @page50 id: 51f0cf609d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雫 | 作成日時:2023年7月27日 0時