想い ページ13
***
(No side)
後日、不死川は星宮の屋敷へと訪れたところ
星宮は不死川の顔を見るなり、すぐさま戸を閉めようとしてきた為
不死川は閉まる直前、咄嗟に隙間に足を挟めると同時に、戸に手を掛けて
「オイ…何も急に閉める事ねェだろォ…、お前に話あンだよォ、面貸せェ…。」
何とか戸を開けようとするが、星宮は折れる様子がなく
「手離せ…私は…お前と話す事はない、…さっさと帰れ。」
顔を伏せながらそう言って、勢いよく戸を閉める。
「(相変わらず…力強ェな…。)」
そんな事を思いながら、不死川が弾かれた手に視線を向けていると、
「話…あるなら、そこで話せ。屋敷には入るな、」
戸を挟んで、星宮からそう声を掛けられる。不死川はそんな星宮に対して、
「大事な…話だからよォ、ちゃんとお前の顔見て話してェ。だから…開けてくれねェかァ、」
そう声を掛けるものの、星宮は頑なに戸を開ける様子はなく
「断る、帰れ。」
吐き捨てるようにして、そう告げる。
そんな星宮に不死川が若干の苛立ちを感じていると
地面にポツンと雫が落ち始めたかと思えば、
次第に雨が降り出し、不死川は仕方なく星宮の屋敷へと背を向ける。
「(入れてもらえそうもねェし…出直すかァ、)」
そんな事を思いながら、雨が降り続ける中、その場を立ち去ろうとすると
先程まで、頑なに閉まっていた筈の戸が開き
「早く入れ…風邪引くだろ、馬鹿…。」
星宮は不服そうな顔を浮かべながらも、そう言って不死川を屋敷へと招き入れた。
その後、不死川は客室に通されたかと思えば
星宮から、雑にタオルを顔面へと投げつけられ
「…っ、オイ…お前、急に何す___」
「少し濡れただろ、拭け。…部屋汚されたら困る。」
星宮はそう言って、一旦その場を立ち去り、何処かへと向かう。
不死川が雨で濡れた身体を拭いている間、先程去っていった星宮が戻ってきたかと思うと
星宮は温かい茶を不死川へと差し出し、
「これ飲んで…雨止んだら、さっさと帰れ。いいな、」
ぶっきらぼうな口調でそう告げる星宮に、不死川は静かに視線を向けた後
「…ありがとなァ、」
そう一言告げて、差し出された湯呑みを手に取り
「(相変わらず…優しい…つーか、あったけェ奴…。)」
そんな事を思いながら、温かい茶を口へと含んだ。
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よっしー(プロフ) - はじめまして!実弥が好きでこの小説に出会い、春雷と星屑を一気読みしちゃいました!面白かったです!どちらの作品もすごく良かったので、また他の作品も楽しみに読ませていただきます!久々にキュンキュンしましたー✨ (9月29日 6時) (レス) @page50 id: 9a6c96b2f0 (このIDを非表示/違反報告)
Kk - この小説すべて読みました。とてもおもしろいです。よければ現代のほうも書いてください。まだまだ暑い日が続いてるので体調に気をつけて元気に過ごしてください (9月11日 15時) (レス) @page50 id: 51f0cf609d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雫 | 作成日時:2023年7月27日 0時