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西條はそう告げた後、不死川の背後へと回り
羽織に荒々しく刻まれた『殺』という文字を見つめながら
「君が背負う文字の覚悟は…その程度か、」
「『たかが兄弟子』一人を亡くしたくらいで、感傷的になってるようじゃ…柱は務まらないし、今後鬼狩りを続けていく事さえも___」
西條がそこまで言い掛けた時だった。
『たかが兄弟子』…その一言が、不死川の怒りに触れ
不死川は振り返ると同時に、西條の胸ぐらを勢いよく掴み、鋭い視線を向ける。
「テメェに…俺の…、匡近の…、何が分かるってンだァ……アイツは…俺にとって…___」
西條の胸ぐらを掴む、不死川の手は微かに震えており
「………、…。」
その震えが怒りの感情だけではない事に、西條は気づきながらも、慰めの言葉は敢えてかけず
「…百五十二 、」
ポツリと溢すようにして、そう一言呟いた。西條は続けて、
「これは、私が今まで…柱を務めてから救えなかった、隊士の数だ。目の前で、仲間が死ぬのを何度も見てきた。」
「その中には…唯一の同期もいた。…アイツは…強かった。当時は『歴代風柱最強』…だなんて、言われてたが___」
「そんなアイツも…二年前、呆気なく死んだよ。」
静かな微笑を浮かべながら、西條は落ち着いた口調でそう告げる。
不死川は西條の話を聞き、目を見開いたかと思えば、掴んでいた手を離し
「………、…____」
少し寂しそうな顔をする西條に、同情するかのような目を向ける。
西條はそんな不死川に対し、ふっと軽く笑いながら
「そんな顔…しなくていい。此処ではよくある話……なんて事ない話だろ。」
そう言った後、不死川に掴まれ皺になった隊服を整えながら
「とにかく…私が言いたいのは、柱になったらこれから先…多くの仲間の死を目の当たりにする。そこでいちいち感傷に浸ってたら、足を掬われるって話だ。」
「…仲間の死を悔やむ事が…その兄弟子とやらの、為になると思うか。柱である君が、今すべき事は…そうじゃないだろ、___」
西條はそう告げた後、不死川の肩を軽く叩くと同時に
「 柱としての責務を果たせ 」
耳元で一言そう告げ、鞘から日輪等を抜く。
そして深く息を吸い込み、迸る稲妻を身に纏いながら
「 雷の呼吸、陸ノ型 電轟雷轟 ___」
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作者名:雫 | 作成日時:2023年7月19日 18時