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無論、忌羅のその声は届く筈もなく



西條は長い事閉ざしていたその口を開き、呟くようにして



「…雷の呼吸…、壱ノ型……____」



前傾に構え、左足を力強く後方へ踏み込む。



忌羅はそんな西條の見慣れた構えを目にし、またしても嘲笑いながら



「アンタのその技、どれだけ見てきたと思ってるの…?最高速度『神速』はさっき目にした……あれ以上は、速くならないんでしょ?」



「だったら余裕。アンタの技の速度が既に分かっていれば、後は私が先に動けば…____」



忌羅がそう言いかけた時だった。













「 霹靂一閃 」













静まり返る夜更けに、凛としたその声が響いたかと思うと



「……………え…、?」



その後に、戸惑うような声が漏れると同時に



頸が転がり落ちる…鈍い音が響く。



「え……ウソ…、斬られた…?…何…で…?」



忌羅は頸を落とされてもなお、それを受け入れられない様子で



「だって……今の、私がさっき見た神速より…速かった…、それに…アンタ…その足の怪我で…何でそんなに、速く動けるの…?」



「有り得ない、有り得ないッ…!そうよ…、きっとこれは…悪い夢……だって私が…こんな女に斬られる訳が____」



西條はそう話す忌羅の頭部に、冷ややかな視線を落としたかと思えば



「……、…___ 」



足元に転がるその頭部を宙へと蹴り上げ、刀を振り翳し



とどめを刺すようにして細かく斬り刻み、忌羅の頭部は灰化が進む前に原型をも無くす。



そんな西條の様子を目にし、童磨は心から讃えるかのような拍手を送り



「君、容赦ないねぇ…!それと…今の技、忌羅が言ってたように…さっき見た『神速』よりも速いよね…?君、もしかして…まだ本気出してなかった?」



「という事は…『神速』はこれからもっと速くなるって事…?君はもう、あの時終わったと思ったけど…まだまだ楽しめそうだ…!」



「…………。」



そう話す童磨に対し、西條は何も返す事なく静かに視線を向ける。



西條と目があった瞬間、童磨は微かな違和感を覚え



「(…あれ…?何だろう…、)」



その違和感の正体に気付く間もなく、西條はふたたび刀を構え、童磨の頸を狙う。



「 雷の呼吸、参ノ型 聚蚊成雷 」



西條が迸る稲妻の斬撃を次々と繰り出していく中



童磨はその攻撃を軽々と交わしながら宙を仰ぎ、何かを考えている様子で



「(何だろう…この感じ…、さっきと…何かが違うような…____)」

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作者名: | 作成日時:2023年7月19日 18時

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