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不死川はそう話す西條に対して、



『雷の呼吸の使い手なんて、他にも沢山いるだろうがァ…別にソイツじゃなくても___』



すると、西條は不死川の言葉に被せるようにして、口を開き



『実弥、君が思ってるより…私はちゃんと、後継について考えている。今話した剣士を抜いた、雷の呼吸を使う隊士については…既に全員把握済みだ。』



『その中に…実力のある奴は一人、いるにはいた。彼は先ほど話した剣士とは逆で、壱ノ型だけが使えない剣士なんだが……その彼の音は…酷く荒んでいてな、…___』



そこまで話した後、西條は一旦、煙草を手に取り



宙を仰ぎながら、煙をふーっと吐き出す。



そして、ふたたび煙草を口へと咥え、遠くを見つめながら



『私は…全ての型が使えるかどうかは、さほど重視していない。気合いと根性さえあれば…いくらでものし上がれる。』



『ただ……人に根付く「音」を変えるのは難しい。…自分自身としっかり向き合い、しがらみを断ち切らなければいけないからな。』



『おそらく彼は…それが出来ず、あそこまで拗らせてきたんだろう。…残念だが、そんな彼が柱になるのは茨の道だ。』



西條ははっきりとそう告げて、宙を舞う煙草の煙をただ眺めていた。



『(「音」…ねェ…、…。)』



今まで静かに話を聞いていた不死川は、何か考え込むような素振りを見せたかと思えば、呟くようにして



『俺も…耳が良ければ…、お前の音…聞けたンだけどなァ…。』



西條はそんな不死川の言葉を聞いて、少し驚いたような表情を浮かべた後



不死川に視線を向けると同時に、少し困ったような微笑を浮かべて



『私の音は…そんなに、いいものじゃない。』



『実弥の方が、私の何倍もいい音だしてる。これからもその音…側で聴かせてくれ。____』



そう言って、西條はふっと柔らかく微笑みながら、煙草の煙を吐き出した。



その後、不死川は西條に対して



『…じゃあお前、後継について考えてる…って事は、継子取る気でいンのかァ…?意外だなァ、面倒臭ェとか言ってそうなのによォ…』



そんな不死川の問いかけに対し、西條は少し何かを考えた後



『いや、継子を取る気はないな。』



『たまに手合わせするくらいなら、いいが……飲みに行く時間削ってまで、稽古の相手するのはごめんだ。』



はっきりとした口調でそう話す西條を目にし、不死川は軽くため息をつきながら、



『この際、継子取って少しは酒控えろォ…___』

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作者名: | 作成日時:2023年7月19日 18時

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