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西條は即座に、自身の日輪刀を童磨へと向け
「( 雷の呼吸、参ノ型…聚蚊成雷 )」
無数の斬撃を辺り一面へと放つが、
「雷の呼吸の剣士かぁ…いいね、面白い。」
童磨は余裕の笑みを浮かべ、軽快にその攻撃を交わしていく。
西條は一旦童磨から距離を取り、不気味な雰囲気を放つその姿を捉えながら
「(柱を務めて七年…ようやく、上弦の鬼と遭遇できた……やはり、今までの鬼とは格が違う…。)」
そんな事を思っていると、童磨は嬉しそうな様子で
「こんな綺麗な子に…じっくり見られると、照れちゃうなぁ。もしかして君も…俺の事、気に入ったのかな…?」
「これが…相思相愛ってやつか、嬉しいねぇ。…ところで、君の名前は___」
ひたすら西條へと話しかけ、熱い視線を向ける。
そんな童磨に対し、西條は返答する事なく
「(よく…話す鬼だな…。何を言ってるか知らないが…こんな鬼の戯言、聞く必要も無___)」
西條がそう思いかけた時だった。童磨は懐から、何かを取り出し
「柱の女の子と会えたのは…この子以来かな?」
「この子も…凄く綺麗な子だったよ。確か…『花の呼吸』の剣士だったかなぁ。」
そう話す童磨の手に握られていたのは…見覚えのある、蝶の髪飾り。
それを目にした途端、西條の瞳には先程まで無かった…怒りの色がじわじわと滲み
「(そう…か、カナエちゃんを…殺したのは…コイツだったか…。___)」
そんな西條を目にし、童磨はハッとした様子で
「あ、ごめんごめん…!君の前で…他の女の子の話を持ち出すのは良くないよね。」
「でも…安心して。今の俺の目には、君しか映って___」
すると、西條は話し続ける童磨に構う事なく、刀を強く握り締め
「( 雷の呼吸、肆ノ型…遠雷 )」
離れた間合いから、瞬時に鬼の頸元へと刃を向ける。
童磨は刀が頸へと触れる寸前の所で、攻撃を交わし
物珍しそうな様子で、西條を見つめながら
「さっきより…速度、上がってるよね?…凄いなぁ、これが雷の柱…。」
「でも…どれだけ速度が上がっても、君のその刃は…俺には届きそうにな___」
童磨がそう…言いかけた時だった。
先程まで笑みを浮かべていた童磨の口元に、じわりと血が滲んだかと思うと
「あ…れ…、」
薄気味悪いその笑顔を、引き裂くかのようにして
「君…いつ、斬ったの……?___」
顔の大部分が…鈍い音を立て、地面へと転がり落ちた。
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作者名:雫 | 作成日時:2023年7月19日 18時