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下弦の鬼がそんな事を思いながら、血鬼術を仕掛けようとすると
「( 雷の呼吸、壱ノ型… 霹靂一閃 )」
西條は先程同様、下弦の鬼へと接近し、頸を狙う。
しかし、その攻撃は即座に交わされ、下弦の鬼は西條を嘲笑いながら
「だから…アンタは私より遅いって言ってんの、まだ分からない…?アンタ、ちゃんと私の話聞いてる?」
西條は自身の攻撃を交わした下弦の鬼と一瞬、目を合わせた後
「(やはりこの鬼、頭が悪いな。完全に油断し切ってる…。)」
「(今までの攻撃は…全部ただの、様子見だというのに。___)」
そして、ふたたび先程と同じ構えをし
「…また、それ?もういい加減…交わし飽きちゃったんだけど、本当…馬鹿な女ッ…!」
吐き捨てるようにして、下弦の鬼がそう告げた後
今までよりもさらに強力な血鬼術が、西條を狙い
西條はその攻撃を悟りながらも、表情一つ変える事なく
「(あの攻撃は…まともに受けたら、即死だろうな。)」
「(まァでも、あれより早く動けば…何も問題はない。___)」
深く息を吸い込んだ後、力強く足を踏み込み
「( 雷の呼吸、壱ノ型 …___)」
「( 霹靂一閃 六連 )」
ビリビリと迸る稲妻と激しい雷を見に纏い、血鬼術を瞬時に交わし
「(ウソ…待って、あの女…何処に…?)」
周囲の複雑に入り組んだ木々を利用し、目にも止まらぬ速さで下弦の鬼を翻弄した後
下弦の鬼の頸を即座に捉え、屈強な刃を斬り込み
「(戻ったら…新しい煙草、買っておかないとな…__)」
そんな事を思いながら、頸を斬り落とそうとしたその時。
「……!」
薄気味悪い冷気が…西條を包み込むようにして、背後から襲い
「油断したね、忌羅(キラ)。」
「でも、いいなぁ…こんな綺麗な子に斬られるだなんて。」
そう告げる鬼の瞳は虹色に煌めきながらも、酷く残酷で
先程まで至って冷静であった、西條も目を見開き、瞳の文字へと目を向ける。
「(…上弦の…弐……。)」
「驚いたその顔も美しい…ますます君が気に入った。」
「俺も混ぜてくれよ、絶対に…君を退屈させたりはしないからさ。____」
そう言って妖しく微笑む鬼は
「そういえば…君、名前はなんて言うの?」
十二鬼月の中でも、最強に属する上弦の鬼
「あ、失礼…まずは、俺から名乗るべきだよね。」
「俺の名前は『童磨』。今日は…一段と、いい夜になりそうだ。__」
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作者名:雫 | 作成日時:2023年7月19日 18時