検索窓
今日:60 hit、昨日:22 hit、合計:22,541 hit

23 ページ23

その後、蝶屋敷を去り、自身の屋敷へと向かう途中



「(そういえば…西條、あの日____)」



西條の事について、一つ思い出した事があった。



特に気に留める事ではないと思っていたが…あの日、西條は珍しく煙草を切らしていて



周囲の鬼の頸を切った後、俺に対して



『…なァ、実弥。今、煙草…持ってたり___』



『持ってる訳ねェだろォ……お前、どんだけ煙草好きなんだァ…?いい加減辞めろォ、』



注意を促すようにしてそう告げるが、アイツは少しの沈黙の後



『そう簡単に…辞めれるものじゃない。悪いな、__』



そう言って、刀を握りながら奥へと進んでいった。



その後、西條は終始煙草を求めるかのようにして『あー…』とぼやいており、



『(中毒になってんなァ…、ったく…)』



俺はそんな西條に対して、ただ呆れた視線を向けていた。



「(こんな話…胡蝶にしても、アイツも呆れるだけだろうなァ…、)」



そんな事を思いながら歩いていると、



道中、木に寄り掛かりながら寝ている…西條の姿が目に入る。



「(こんな所で寝るかァ、普通…風邪引いたらどうすんだァ……ったくよォ…___)」



そんな事を思いながら西條の側へと寄り、先程まで着ていた自分の羽織を掛け、



寝ている西條の隣に腰を下ろし、視線を向ける。



……長い睫毛に…透明感のある白肌、



紅く…色付いた、艶っぽい唇____



ふと、そんな所に目を向けてしまう…自分にハッとして



「(クソ…落ち着かねェ…、…。)」



西條から視線を外した後、一旦その場に立ち上がり、



木を挟んだ反対側へと移動し、ふたたび腰を下ろす。

















俺は…西條に対して、淡い…特別な感情を抱いている。



それを自覚してから、もう三年近く月日は経つが



俺はその想いを告げるつもりもなければ、…西條と今以上の関係になることを…望んでいる訳でもない。



けれど、時折…その想いが溢れてしまいそうになって



その度に、耳のいい西條は…俺の想いを、おそらく察してはいるものの



受け入れるつもりも無ければ…拒むつもりもなく、



ただただ煙草をふかしながら、他愛もない話を持ちかける。



それが…きっと、西條なりの優しさで



正直、助かっては…いる。



けれど、俺はこの想いをずっと捨てきる事が出来なくて



「(本当…やってらんねェ…、___)」



静かに視線を下へと落とし、



辺りに吹く穏やかな風を感じながら、ゆっくりと目を閉じた。

24→←22



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (30 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
82人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 不死川実弥
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2023年7月19日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。