検索窓
今日:8 hit、昨日:22 hit、合計:22,489 hit

18 ページ18

アイツはそう告げた後、続けて



『そもそも俺は…望んで鬼殺隊に入った訳じゃない。今すぐにでも辞めてぇよ、こんな所。』



私はそんなアイツの言葉に目を見開くと同時に、思わず口を開いて



『そうか…、奇遇だな。私も…鬼殺隊には、望んで入った訳じゃない…。___』



それからは、互いの生い立ちについて語り始めた。



…アイツは、代々産屋敷一族に仕える名門『神代家』の息子で



幼い頃から、柱になる事を強要され、息苦しい環境の中で育ってきたと話していた。



『柱になったら…アイツらの思い通りだろ。だから俺は…階級上げずに、ずっと下っ端でいて…アイツらに恥欠かせてやりてぇんだよ。』



そうは言いつつも…最終選別で目にした、アイツの実力は明らかに格上で



『君は…いずれ、柱になるだろうな…下の階級、維持する方が難しいんじゃないか。』



そう尋ねると、アイツは『まァな』と一言告げた後、私に視線を向けて



『だからお前に、押し付けてンだよ。俺の為にも…なるべく沢山鬼斬ってくれ、西條。』



『…随分と、人任せだな。』



いい加減なアイツの言葉に、思わずふっと笑みが溢れる。



その後は…私の生い立ちについて、…アイツに話した。



過去の事を誰かに話すのは…この時が初めてで、



『普通…引くよな…、こんな話…___』



一通り話し終えた後、視線を落としながらそう告げると



『別に、引かねぇよ。…苦労してんだな、お前も。』



『最近様子が変だったのも、さっき倒れたのも…それが原因か。…何とかしてやりてぇけど…俺がどうにか出来る事じゃねぇしな…。』



宙に舞う煙草の煙を眺めながら、そう話したかと思えば



アイツは懐から煙草の箱を取り出し、『ん、』と一言告げて、それを私に回してくる。



『とりあえず、これ吸っとけ。落ち着くからよ、』



『いや…いい。私は君みたいな不良になる気はない、』



『誰が不良だァ?俺は真っ当な好青年だ、…いいから試しに一本吸ってみろ。』



半ば強引に押し付けられたその箱から、煙草を一本取って口へと咥え



火をつけた後、少しずつ煙を吸い、肺まで落とす。



そして、口から吐き出した煙を、何となく眺めながら



『……クソ不味いな、これ。』



そう呟くと、アイツは微笑を浮かべながら



『直に慣れる…気分悪くなったら、それ吸って落ち着かせろ。煙草の一、ニ本…いつでもくれてやる、』



『…余計、気分悪くなるだけだ。遠慮しとく、___』

19→←17



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (30 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
82人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 不死川実弥
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2023年7月19日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。