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その後、鬼の頸を全て斬り落とし、
刀を鞘へと収めると、アイツがこちらへと近付き、私の顔をまじまじと眺めてくる。
私はそんなアイツに対して、
『悪かったな。君みたいな…美形じゃなく、変な顔で。そんなに物珍しそうに見ないでくれ、』
そう声を掛けると、アイツは不思議そうな表情を浮かべた後、
『あァ…?誰もお前の顔が変だなんて、言ってねぇよ。むしろお前、綺麗な面してる。俺の次に、』
『(コイツ…自分が美形だと自覚あるタイプか…、つくづく残念な奴だな…。)』
そんな事を思いながら、少し呆れた視線を向けていると、
『お前、もしかして…自分で気づいてないのか?』
『…何の話だ、…?』
不意にアイツから、そんな問いを投げかけられ、質問の意図が掴めずにいると、
アイツは近付いたかと思えば、耳元で呟くようにして
『 ____________ 』
確かに、はっきりとそう告げた。
『…え…、……』
思い掛けないその言葉に、思考が止まり
『(いや…そんな…筈は…、…___)』
私が困惑する中、アイツは特に気にしていない様子で
『まァ、別に…気にする程の事じゃないと思うけどな。じゃあ俺は先に戻るわ___』
そう告げて、煙草の煙を纏いながら、アイツはその場から去って行った。
____そんな…アイツの言葉を受けてからというもの、
ここ最近の任務では、思うように剣が振るえず
『(あァ…気持ち悪い…、嫌な…音がする…___)』
戦場に立つ事が一時期、苦痛で仕方なかった。
それでも何とか剣を握り、鬼の頸を斬り落とすものの
『…ッ…、…____』
周囲に鳴り響く音の圧に耐えられず、一度だけその場に倒れ込んでしまった事があった。
その時、介抱してくれたのは…同じ任務を担当していたアイツで、
『____目、覚めたか。西條、』
横たわる私の側で、煙草をふかしながらそう声を掛ける。
辺りを見渡すと、そこはまるで…竜巻でも通り過ぎたかのような、被害を思わせ
『神代…あの鬼の数、君が一人で殺ったのか…?』
『あんなの余裕だ。まァでも…少し斬りすぎた…、…これで階級上がったら、お前のせいだからな。』
『……階級、上げたくないのか。』
そう尋ねると、アイツは静かに視線を落としながら
『あァ、普通に任務こなしていけば…すぐに階級上がって、柱になりかねない。』
『俺は…柱になるのは、ごめんだ。___』
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作者名:雫 | 作成日時:2023年7月19日 18時