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その頃、任務に向かった西條と善逸は、目的地へと辿り着き
西條が次々と鬼の頸を切り落としていく中、善逸は泣き喚きながら
「アーーーッ!!来ないでェ!美琴さん助けてェ!!」
西條に助けを求めながら、鬼から逃げ回る。
西條はそんな善逸を目にし、少し呆れた表情を浮かべて
「(多分…あれは、汚い高音出しまくって騒いでるってとこか……仕方ない、助けに行くか。)」
そう思いながら周囲の鬼を片づけ、善逸のもとへ向かおうとしたその時。
逃げ回っていた善逸が勢いよく木へとぶつかり、意識を失って倒れたかと思うと、
先程までの様子とは打って変わり、その場に立ち上がって、深く息を吸い込む。
そして、ビリビリとした稲妻を纏いながら、足を強く踏み込み
「 雷の呼吸、壱ノ型 霹靂一閃 ___」
***
その後、任務を終えた西條は、疲れ切った様子の善逸を連れて歩きながら
「(それにしても…さっきのあの技の威力、速度…凄まじかったな…。)」
そんな事を思いながら、西條は善逸の肩を軽く叩いて
食事処を指差し、善逸と共に中へと入る。
頼んだ食事を待つ間、西條は懐から取り出した紙にさらさらと文字を書き、隣に座る善逸へと回す。
【 今、階級どの辺りだ 】
西條の問いに対し、善逸は【 庚です 】と回答すると、西條はふたたび文字を綴り
【 君が甲まで上がったら、私は柱を降りる 】
【 その後は君に任せる、次期鳴柱 】
善逸はそんな西條の思いに対し、
「えーっ!!無理…俺に柱なんて、絶対無理ッ!!」
思わずその場で声を上げ、素早く文字を書き綴る。
【 俺には無理です 】
【 俺は美琴さんみたいに、全ての型を使えませんし…壱ノ型しか使えない俺が、柱になるだなんて___
すると、西條は善逸が握っていた筆を取り上げ、善逸が書いた文字の真横に
【 問題ない 】
【 基本の型さえ出来ていれば、後はどうにでもなる 】
【 自信を持て、我妻善逸 】
そう綴った後、西條は一旦筆を置き、
優しい手つきで、隣に座る善逸の頭を軽く撫でる。
「……、…___」
善逸は少し驚いたような表情を浮かべたかと思えば、
少しの沈黙の後、筆を取って、西條へと紙を回す。
【 結婚して下さい!!!! 】
強く訴えかけてくるような善逸の文字を目にし、西條は苦笑を浮かべた後
特に返事はせず、取り出した煙草に火をつけ始めた。
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作者名:雫 | 作成日時:2023年7月19日 18時