春雷に散る花【不死川実弥】 (ページ2)

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その後も、隣で何かを話している彼を横目で見ながら

「(罪悪感でも感じてるのか…？別に…いいのに、)」

あの日の任務は、彼との合同任務で

術にかかってしまったのは、私が迂闊だったからで…、彼が気に病む必要は全くない。

けれど、彼は私との会話が難しいと分かりつつも、よく声をかけてくれる。

そんな彼の行動は、罪悪感が理由とも捉えられるが

ただ単純に…彼が優しい人間で、親切心から声を掛けてくれているような気もする。

それか…もしくは、____

「…………、…」

私は何か話している彼に近づき、そっと手を伸ばす。

彼の頬にある傷跡を、指先でなぞるようにして触れた後

彼の顔を覗き込むようにして、ふっと微笑みかける。

「……！」

彼は目を見開き、少し驚いたような表情を浮かべたかと思えば

耳の付け根まで赤く染め、視線を外して俯いてしまう。

…私はその隙に、彼から煙草の箱を奪い取り

彼に背を向け、ひらひらと手を振りながら、その場を後にする。

「(実弥は…女の趣味が悪いな、…___)」

そんな事を思いながら、箱から煙草を取り出し

口へと咥え、ふたたび火をつける。

宙に舞う煙を眺めながら、ふと過去の記憶を思い出し

「(それにしても…実弥の奴、随分と…大人びたというか…立派になったな…。)」

「(まァ、あれから四年経つし…当然か。___)」

＊＊＊

___四年前、風柱就任直後の柱合会議にて

会議前、現柱が産屋敷邸へと集まる中、一際顔色の悪い人物が一人。

「(あー…二日酔い…辛い…、さすがに…飲みすぎたな…。)」

艶やかな黒髪に、眩い金色の瞳が印象的な彼女の名は

鳴柱、『西條美琴(ｻｲｼﾞｮｳﾐｺﾄ) 』

今にも吐き出しそうな彼女を目にし、声をかけるのは

「西條、お前…また飲み過ぎたのか？相変わらずだなァ…、会議中吐くんじゃねェぞ。」

「天元…まァそれは…お館様の…前だしな…、阻止する…」

音柱である、宇髄天元と話をしていると、蝶の髪飾りを付けた人物がこちらへとやって来て

「美琴さん、良ければこのお薬どうぞ。前回の会議も、二日酔いで辛そうだったから…今回ももしかしたらと思って、用意してたの。」

にこやかな笑顔でそう声をかけるのは花柱、胡蝶カナエ。

西條はカナエからその薬を受け取りながら、

「カナエ…ちゃん…、恩に…着ます…___」