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胡蝶が他の隊士たちの治療の為、その場を颯爽と去っていく中



不死川は虚ろな目をした星宮に顔を向けて、



「(胡蝶の奴…、コイツに何したんだァ…?…やっぱり、アイツは怒らせると怖ェなァ…。)」



そんな事を思いながらも、不死川は星宮に「行くぞ、」と一声掛けて、蝶屋敷を後にする。



星宮は胡蝶との一件で堪えたのか、意外にも反抗する事なく、不死川の後ろを静かに着いて歩く。



不死川は道中、背を向けたまま、星宮に対して



「…そう言えばお前…下の名前なんて言うんだァ、」



そう問いかけるが、星宮は返答する事なく、ただ黙って歩き続ける。



「(無視かよ…、…まァ…そうだろうなァ…。)」



若干苛立ちながらも、答えが返ってこない事は、これまでの星宮の態度から何となく予測が付いていた。



そして、不死川が所有する風屋敷へと辿り着くと、不死川は星宮に対して



「今日からお前は…此処で、俺が面倒見てやる。…部屋は好きに使ってくれていい、」



不死川は星宮にそれだけ伝えた後、門をくぐり、ガラッと屋敷の戸を開けて中へと入っていった。



____…それから数時間後、不死川は星宮の様子を確認する為、屋敷の中を探すが彼女の姿は何処にもなく。



「(………出掛けたのかァ…?)」



そう思い、玄関の戸を開けると、門の前には星宮が静かに膝を抱えて座り込んでいた。不死川はそんな星宮に近づいて、



「何してんだ、お前…。まさか、ずっとここに居たのかァ?」



「…………、…。」



黙り込む星宮に対して、不死川はため息をつきながら



「何か気に食わねェ事でもあるのかァ、お前は…、…黙ったままだと、分かんねェぞ。」



不死川がそう話すと、星宮は呟くようにして



「……実家みたいで…嫌だ。…落ち着かない、」



星宮の返答に、不死川は困ったような表情を浮かべながらも、



「もっとこう…、…具体的に何が嫌か言ってみろォ、」



「…広い。」



「(それは…どうしようもできねェなァ…)…他にねェのか、?」



「……他…は、____」



星宮は何かを言いかけたところで、膝をきゅっと抱えて、口を噤む。



ふたたび黙り込んだかと思えば、星宮はスッと立ち上がり、不服そうな顔をしながらも、そのまま屋敷の中へと入っていく。



不死川はそんな星宮の後ろ姿に目を向けて、



「(…ったく…難しい奴だなァ…、____)」



そう思いながらも、星宮に続いて屋敷の中へと入り、戸をピシャリと閉めた。

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作者名: | 作成日時:2023年6月12日 2時

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