星屑を掴む【不死川実弥】 (ページ46)

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目に悲痛の色を浮かべながらも、不死川が星宮に掛ける声は何処か温かみがあり

触れた手から伝わる体温が、冷えきった心に染み渡る。

星宮は不死川の手に自身の手を重ね、視線を少し下へと落としながら

「……温かいな、お前の手は…。」

そう呟くと同時に、今にも零れ落ちてしまいそうな思いを堰き止め、

下唇を一瞬噛み締めた後、不死川の方へ視線を戻そうとしたその時。

頬に触れていた不死川の手がするりと抜け、星宮の頭に移ったかと思うと、

不死川は掴んだ頭を自身の肩へと引き寄せ、

「……誰も見ちゃいねェからよォ、…我慢すんなァ」

耳元のすぐ側でそう告げた後、不死川はあえて星宮から視線を外す。

星宮は内心驚きながらも、抵抗はせず、静かに彼の肩へと顔を埋め

「……見たら…殺すからな…、…____」

消え入りそうな声でそう言い放ち、不死川の羽織の裾をぎゅっと握った。

その後、肩を震わせ、啜り泣く声が聞こえてきたかと思うと

最初の一粒が零れ落ちたのを機に、今まで堰き止めていたものが一気に溢れ、

顔を歪め、微かな嗚咽を時折漏らしながら、子供のようにただ泣くばかりだった。

不死川はその間、星宮に黙って寄り添いながら

夜空に浮かぶ淡い月を、ただ静かにを眺めていた。

___…しばらくして、星宮は泣き疲れたのか、不死川の肩に寄りかかるようにして、顔を埋めたまま眠ってしまった。

不死川はそんな星宮を抱き抱えて、自室の布団へと寝かせた後、その場へと座り込む。

視線を落とし、何か考え込む様子を見せる不死川の脳裏には、かつての星宮の姿が浮かび

『触るな』

…必要以上に、触られる事を拒んでいたあの日。あれは、単純な強い警戒心の表れだけではなくて

瞳の奥に抱えた怯えの色を隠すための、虚勢であった事に今更ながら気づく不死川。

それと同時に、これまでの彼女の変化を思い出し

自ら触れ、寄り添い…素直で温かい感情を不死川へと向けるようになり

最近では頭を撫でると、本人に自覚はないものの、何処となく安堵の色を瞳に浮かべる。

「(…正直…すぐにでも、野郎の所に殴り込みに行きてェが……、…今俺がすべき事は…そうじゃないよなァ…__)」

そんな事を思いながら、星宮の濡れた目元に溜まる涙を、掬うようにして拭った後

夜が明けるまでの間、彼女の側から片時も離れる事なく、見守るようにしてその場に座り込んでいた。