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不死川は星宮の言葉を聞いた後、立ち上がって



「……少しそこで待ってろォ、」



そう言って、部屋を後にする不死川。…その数分後、お盆を持って戻ってきたか思うと、



「 食え 」



不死川が差し出した皿の上には、だし巻き卵がのっており、星宮は驚いた様子で



「…は…?お前…これ、どうした…、…?」



「…今、作った…好きなんだろォ、それ。」



星宮は目を丸くしながらも、皿を受け取り、手元の皿と不死川を交互に見つめた後



「…お前…これ、毒とか入れて___」



「入れる訳ねェだろうがァ…いいから、冷めないうちに早く食え。」



不死川に促されるまま、星宮は「…いただきます、」と手を合わせ、箸を付けていく。



一口、二口…と食べ進める星宮を、不死川は横目で見ながら



「……美味ェか、」



そう問いかけると、星宮は不死川に面と向かって



「…母さんが作ったやつの方が、圧倒的に美味い。」



遠慮のなさすぎる言葉に、不死川が若干の苛立ちを感じる中、



星宮は続けてもう一口、口へと含んだ後、穏やかな視線を手元へと向けて



「でも…、…あれだな…。…お前みたいな…味がする、…」



そう話す星宮の表情は、いつもよりも柔らかく、何処か嬉しそうにも感じられた。



一方、不死川はピンときていない様子で



「……どういう意味だァ、今のはよォ。」



星宮は不死川にチラッと目を向け、少し考えた後で



「お前みたいな…品がない味がするって意味だ。それくらい察しろ、」



「あァ…そうかよォ…、…悪かったなァ…品がなくてェ…」



そんな憎まれ口を叩きながらも、星宮は箸を止める事なく、食べ進めており



「………、…_____」



不死川はいつもより機嫌が良さそうな星宮を目にし、何となく、手を伸ばして



柔らかい眼差しを向けながら、星宮の頭を優しく撫でる。



「………?」



星宮が不思議そうな顔を浮かべていると、不死川は口を開いて



「…お前…俺が触っても嫌がらなくなったよなァ…、」



そう呟くと、その言葉に星宮の身体がピクリと反応したかと思えば、



不死川の手から逃れると同時に、決まりの悪そうな顔を浮かべ、少しずつ身を引いていく。



不死川はそんな星宮の様子を見て、思わず口元が緩み



「今更、そんな素振りしてもなァ…もう遅ェだろォ、」



そっぽを向く星宮に対してそう告げた後、



ふたたび箸を付けていく星宮を、ただ側で見守るようにして眺めていた。

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作者名: | 作成日時:2023年6月12日 2時

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