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その一方で、星宮に対して好意を持つ者も現れ、
「…一華、良かったら今からご飯行かないか?俺、いい店たくさん知っててさ…、」
とある任務の帰り、星宮は道中で出会った隊士に引き留められる。
「(何で名前呼びなんだ…?一回しか任務一緒に行ってないだろ…。)」
星宮は呼び名に引っかかりながらも、とりあえずこの場を去りたいと思い
「いや…、いい…。今は早く帰りた___」
「好きな食べ物とかあるか…?あと、食べれないものとかもあれば…それも教えてくれ!」
言葉を遮って、強引に話を進める隊士に苛立ちを募らせ
「(殺していいか…、?コイツ…)」
そんな物騒な事を思い立ったその時。
辺りに颯爽と気持ちのよい、柔らかな風が吹いたかと思うと
「 一華 」
まるでその風が運んで来たかのような、馴染みのある声が耳へと届く。
声のした方に目を向けると、そこには同じく任務帰りと思われる不死川が立っていて
「…帰ェるぞォ、」
そう言って背を向けて、歩き出す。星宮は隊士を気に留める事なく、
そのまま不死川のもとへと駆け寄り、当たり前のようにしてその隣を歩く。
「…お前、確か今日の任務…甘露寺とだったよなァ。どうだったァ、」
「…力…めちゃくちゃ強かった…。腕相撲、何回かして全敗した…。」
「…だろうなァ。アイツ…力、異常に強ェからなァ…、」
何気ない会話をしながら、心地よい風が吹く道を歩く二人。
「あと…昼間に、甘味処…連れて行って貰った。」
「あの人…たくさん食べてて…、食べ過ぎてお店の人…少し困ってた…。」
「あんみつ…奢ってもらった、美味しかった。」
珍しく色々と話をしてくる星宮を少し不思議に思いながらも、不死川は口を開いて
「…楽しかったんだなァ、良かったじゃねェかァ」
「…………。」
星宮は何故か少し不満気な表情を浮かべて、不死川をじっと見つめて黙り込む。
その後、付け足すようにして口を開き
「おはぎも…置いてあった、…期間限定の味も…あるとか書いてた…。」
「そうかァ、…___」
何気ない返事をした後、不死川は少し間を置いてから、何かに気がついた様子で
「……お前…、もしかして…俺と行きてェのかァ…?」
不死川の言葉に星宮の身体が微かに反応したが、そっぽを向いて
「…………違う、」
不死川はそんな星宮を見て、ふっと軽く笑いながら
「分かった、…今度一緒に行こうなァ___」
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作者名:雫 | 作成日時:2023年6月12日 2時