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「___…水の呼吸、弐ノ型…水車」
水瀬は自身の技で鬼の攻撃を受け止めると同時に、激しい水の勢いによって炎を打ち消して行く。
その後、星宮と水瀬が地面へと着地した所で、
星宮は水瀬に目を向けたかと思えば、不服そうな顔を浮かべて
「…お前なんかに…助けられるなんて…、最悪の気分だ…屈辱でしかない、」
「お前…せっかく人が助けてやったのに、何だその態度…？礼くらい言えよ、クソ女。」
二人が揉めていると、佐伯の声が辺りに響き
「おい、お前ら！喧嘩してないで、早く加勢しろ…！！俺一人じゃ持たないって…！！」
そう言いながら、鬼相手に一人剣を振るう佐伯を目にし、二人が駆けつける。
必死の攻防戦が続く中、鬼は鋭い眼光で星宮たちを捕らえ、
「鬼血術…毒牙針___」
鋭い斬撃が不規則に放たれると同時に、鬼を中心として、無数の毒針が繰り出される。
「(これじゃ…奴に近づけない…ッ…それに…___)」
星宮たちは何とか攻撃を交わし、受け流していくが、気づけば身体のあちこちに毒針が刺さり込み
「(こんな細かい毒針…避けれる訳ないだろ…ッ、…クソが…ッ…！！)」
星宮が苛立ちを隠せない中、鬼が周囲に斬撃を繰り出してきたかと思うと
その攻撃をまともに受けてしまった佐伯は、血を流してその場に倒れ込む。
「……佐伯…、！！」
すぐさま水瀬が駆けつけ、佐伯を庇うようにして剣を振るう中、星宮は
「(早く…奴を仕留めろ…、手足の痺れなんか気にするな…こんな痛み…あの時に比べたら、なんて事ないだろ__)」
自分自身にそう言い聞かせ、刀を強く握りめる。
そんな星宮の脳裏には、金色の刀を携えた父親の姿が浮かび
『早く立て、…それともお前はこの程度で「星宮」の姓を名乗るつもりなのか？ふざけるのも大概にしろ、』
あの時の容赦ない太刀筋、冷たい視線、声が…今もなお心の奥底に突き刺さる。
星宮は手足の痺れをじわじわと感じながらも、深く息を吸い込み
「風の呼吸、参ノ型…晴嵐風樹」
巻き起こる旋風で斬撃と毒針を打ち払い、そのまま突っ走るようにして、鬼の頸を狙う。しかし、
「(……アイツ…何処に行った…！？)」
先程までそこにいた筈の鬼が瞬時に消え、辺りを見渡す星宮。
星宮は何とか冷静な判断を下そうとするが、
「(毒の…せいで…頭が回らない…奴は何処だ…ッ…___)」
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作者名：雫 | 作成日時：2023年6月12日 2時
