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数時間後、任務を終えた不死川が屋敷へと帰宅。
廊下を歩いていると、星宮の自室の前から何やら騒がしい声が聞こえてきて、
「(…何だァ…、?…___)」
不思議に思った不死川が、襖を開けると
「離せッ、絶対切る…こんな髪、もう要らない…!!」
「星宮様…!落ち着いて下さい、髪は女性の命ですよ…!?どうか…、考え直して下さい…!!」
そこには鏡の前で刀を持ち、自らの髪を切り落とそうとする星宮と、それを必死に止める隠たちの姿があった。
「…何してんだァ、お前ら。」
状況が飲み込めない不死川が、呆れた顔を向けながらそう声を掛けると、隠の一人が不死川のもとへと駆け寄り
「不死川様…!実は…その…先程、宇髄様がいらして___」
隠の話によると、宇髄が星宮を送り届けに来た際に
『じゃあな、星宮。また任務一緒になったら、よろしくなァ』
『………、…。』
星宮は宇髄を無視して、屋敷の中へと上がろうとした時。
宇髄が何か思いついたような顔をしたかと思えば、笑みを浮かべながら
『今日の任務、お前が一番活躍してたから…アレだな、褒美やるよ、___』
そう言って、背を向ける星宮の腹部へするりと手を回し、自身の元へ引き寄せた後
少し前へとかがみ、艶やかな金色の髪の上に軽くキスを落とす。星宮は咄嗟に振り返り、
『は…、…!?…っ……お前…ッ……』
その後、宇髄は星宮からぱっと手を離したかと思えば、
『じゃあ…またなァ、___』
満足そうに笑顔を浮かべ、すぐにその場を去っていった。
「…という事がありまして…、星宮様は今…髪を切り落とすと聞かない状態でして…。」
その一部始終を目にしていた隠が、不死川にそう告げると
「(変な事するなって言っただろうがァ、…)」
不死川は宇髄に対してそんな事を思いながら、星宮のもとへと近づき、刀をひょいっと取り上げる。
そして、星宮に目を向けて
「宇髄の奴には俺からキツく注意しとくからよォ…馬鹿な真似すんじゃねェ。」
そう言った後で星宮の髪を一房、掬うようにして手に取り、
「それに…こんな綺麗な髪してんのによォ…、切るなんて勿体無ェだろうがァ…、」
星宮は静かに黙り込んだかと思えば、不死川に目を向けて、
「…注意じゃなくて、殴り殺せ」
吐き捨てるようにそう言い放った後、勢いよく襖を開け、
不機嫌そうな表情を浮かべながら、部屋を出ていった。
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作者名:雫 | 作成日時:2023年6月12日 2時