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その後…不死川は、ふたたびおはぎを頬張る星宮を隣で見守るようにして眺め、
「美味ェか、」
そう尋ねると、星宮は数秒考えた後で「…普通、」と答える。
「……そうかよォ、__」
不死川がため息をつき、そう呟いた直後、部屋の襖が勢いよく開き
「おい、不死川。ここに居たのかよ…お前、俺が厠行った隙に居なくなるなよな。こっちは客人だってのに、」
「客人だァ…?勝手に上がり込んだ奴が、なに言ってやがんだァ…」
そんな会話をする中、宇髄は不死川の側でおはぎを頬張る星宮を目にし、
少し驚いたような表情を向けた後、にやにやと口元に笑みを浮かべながら、不死川の方に目を向ける。
「へぇ…。お前…俺には一個もくれない癖に、ソイツには好物分けてやるんだな。…あのおはぎ大好き、不死川がねェ…。」
「………うるせェ、その顔やめろォ宇髄。」
宇髄の言葉を聞いて、星宮は手元にある残り一つのおはぎをじっと見つめた後、不死川の方へと目を向ける。
「お前…、これ好きなのか?」
「……まァ…、そうだけどよォ…。…気にすんなァ、全部食え」
星宮は不死川の言葉を聞いた後、おはぎに箸を付けたかと思えば、不死川の口の前へと持っていき
「口開けろ」
「…はァ…?…気遣うなァ、お前が食え。」
「もうお腹いっぱいだからいい…お前にやる、」
「………、…。」
不死川は困惑した表情を浮かべながらも、折れる様子のない星宮を見て、
「…悪ィな、…じゃあ貰うぞ__」
そう言って、不死川が星宮に身を寄せ、口を開けようとしたその時。
いつの間にか宇髄が星宮のすぐ側にしゃがみ込んでおり、不死川から奪い取るようにして、おはぎを口の中へと含む。
飲み込んだ後、口元に付いた餡を指で拭いながら
「やっぱり、ここの和菓子屋のおはぎは美味ェな。…つーか…アレだな、これ間接キスって奴かァ。星宮ちゃんよ、」
そう言って、拭った餡を舐める。星宮は一瞬、固まったかと思えば、背筋がゾクゾクと凍るような不快感を覚え
「……ッ…死ね…!!」
吐き捨てるようにそう言い放ち、その場から逃走。宇髄はそんな星宮を眺めながら、
「意外と面白ェ反応するな、アイツ…なァ、不死川__」
「お前…おはぎ返しやがれェ…。」
鬼の形相を向ける不死川を、宇髄はなんとか宥めるようにして
「待て待て…、また持ってきてやるからよ…そんなに怒るなって、____」
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作者名:雫 | 作成日時:2023年6月12日 2時