星屑を掴む【不死川実弥】 (ページ19)

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星宮はそう告げた後、少し間を置いてから口を開き

「あと…お前にこんな事、言ったら怒られるだろうけど…本当は…『風の呼吸』を全て習得しようだなんて…微塵も思って無かった。」

星宮はそう言った直後、言い直すかのようにして

「いや、…習得出来ると…思って無かった。」

「『星の呼吸』は壱ノ型を覚えるだけで…数年かかったのに…お前から教えてもらった呼吸は、早い段階で習得出来て…、」

「それと同時に…『星の呼吸』を使う才能がない事を、改めて突き付けられたような気がして…正直、ショックだった、…。」

星宮はポツリと溢すようにして本音を告げた後、抱え込んだ膝の上に、顔を伏せて

「刀の色が違っていても…いつかは使えるんじゃないかって、そう思って…毎日剣を振るって、努力してきたつもりだったけど…全部、無駄に終わった…」

「私は…あの人の期待には、一生応えられないんだなって…____」

今にも消え入りそうな声で、そう話す星宮に対して

黙って話を聞いていた不死川は、少しの沈黙の後、星宮に目を向けて

「お前の努力は無駄じゃねェよ…お前、分かってねェなァ…。呼吸技全て習得するなんてなァ、大抵の奴だと最低一、二年はかかるモンだァ。」

「…それをお前はたった数ヶ月で、身につけやがったァ…適性もあるが、…お前が努力で培った身体能力の高さも影響してるだろうよォ。」

そう言った後、不死川は続けて口を開き

「…お前の親父が望む…期待には、ちゃんとした形で応えられなくてもよォ、…別の形で応えればいいだろォ」

「『星の呼吸』が使えなかったとしても、柱にはなれる…柱になれば、お前の親父もきっと…お前の事、認めてくれるだろうよォ。」

不死川がそう言い終えたところで、今まで顔を伏せて話を聞いていた星宮は、ゆっくりと顔を上げ

「…本当に…そう、思うか。…私は…星宮家の娘だ、柱になると言っても…星柱でなければ、あの人はきっと____」

星宮がそう言いかけ時、不死川は言葉を被せるようにして

「たとえ…お前の親父がお前を認めなかったとしても、俺がお前を認めてやらァ。…だから安心して、剣握って強くなれ。」

不死川のそんな言葉に、星宮は目を見開くと同時に

「…お前に認められる事に、価値があるような言い方するな。」

そんな憎まれ口を叩きながらも、星宮の瞳には先程までの淀みは消え、

その代わり、強い決意を瞳の奥底へと宿していた。