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その日の晩、任務を終えた星宮は屋敷へと戻ると、真っ先に不死川の自室へと向かう。



部屋の前に辿り着くと、襖を少しだけ開けて、周囲を見渡し



不死川が寝ている事を確認すると、そのまま静かに部屋の中へと入る。



「(コイツ…妙に、静かだな…。…)」



星宮はそんな事を思いながら、その場にしゃがみ込み、彼の顔の前に手をかざす。



息がある事を確認し、安堵の表情を浮かべていると



「…これくらいで死ぬ訳ねェだろうがァ、」



突然目を開け、そう告げる不死川。星宮は一瞬驚いたような顔をした後、きっと睨むようにして



「お前…、最初から起きてたな……。」



不死川は身体を起こしながら、そう話す星宮の顔を見て



「今日は随分と酷ェ顔してるなァ、お前。…昨日、ずっと此処に居たのかァ…?」



そう問いかけると、星宮は少し黙り込んだ後、視線を落として



「…母さんが…具合悪い時は、私が側にいたらすぐ元気になるって…そう言ってた、…。」



不死川はその言葉を聞いて、少し間を置いた後、星宮の方へと顔を向けながら



「そうかァ…、通りで…治りが早ェ訳だァ、」



「……ありがとなァ、……っ…と…、…星__」



一瞬呼び名に戸惑い、苗字を呼びかけたその時。星宮が被せるようにして



「一華(イチカ)、……星宮…一華。」



星宮はそっぽを向きながら、はっきりとそう言った。不死川は少し驚いたような顔をした後で、



「…ありがとなァ、一華。」



改めて星宮に礼を告げる。一方、星宮は少し不機嫌そうな顔をして



「呼んでいいとは言ってない…、気安く呼ぶな。」



「(テメェが教えてきたんだろうがァ…、…)」



苛立ちを放つ不死川を気に留めず、星宮は立ち上がって、そのまま部屋を出ていくかと思えば



何かに気がついた様子で、縁側の方へと歩いて、空を見上げる。



夜空には無数の煌めく光が、果てしなく広がっていた。



「……星、好きなのかァ。」



静かに空を眺める星宮の隣で、不死川がそう問いかけると、星宮は口を開いて



「…母さんがいた時は…、よく山に行って…一緒に見てた…。」



「(……母さんが『いた』…ねェ、…___)」



星宮の言葉を受けて、不死川は少し間を置いた後



「……今度…一緒に観にいくかァ、」



星宮はそう話す不死川に目を向けたかと思えば、



「…知性ない奴に、星の良さは分からないだろ」



「誰が知性ないだァ…?喧嘩売ってんのかテメェ、___」

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作者名: | 作成日時:2023年6月12日 2時

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