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後日、訓練所からは剣と剣がぶつかり合う激しい音が聞こえてきたかと思うと、
不死川は、勢いよく頭部を蹴り上げようとする星宮の脚を掴みながら、睨みつけるようにして
「___…オイ、お前よォ…木刀使った稽古だってのに、何で脚が出るんだァ…?」
「…苛ついた。一発入れたい、__」
星宮は淡々とそう言って、先ほどよりも力を強め、不死川の制止を振り切ろうとするが
「…ふざけた事言ってんじゃねェぞ、クソガキィ…このまま脚の骨折ってやろうかァ、…?」
不死川は眉間に皺を寄せながら、脅すようにしてそう言うと、星宮は怖気付く素振りを一切見せずに
「折ったら…、…胡蝶さんに言うから。」
「………クソが…、___」
軽く舌打ちをして、星宮の脚を振り払う不死川。
するとそこへ、不死川の鎹鴉が屋敷の方へと飛んでくるのが見え
それを目にした不死川は、木刀から手を離し、星宮に背を向けながら
「……今日はもう終わりだァ、…続きはまた今度なァ___」
そう言って、不死川は訓練所を後にし、鎹鴉を肩へと乗せ、そのまま任務へと向かって行った。
不死川が去った後、星宮は自身の木刀をじっと見つめて
ふたたび木刀を力強く握り、不死川が去った後もひたすら訓練に打ち込んでいた。
***
それからしばらく時間が経った頃、…訓練に打ち込んでいた星宮が窓の外へと目を向けると、既に日は落ち始め、辺りは薄暗くなっていた。
星宮は訓練所を後にして、屋敷の中にある自室へと戻り
静かに襖を閉じた後、襖に寄りかかるようにして、膝を抱えて座り込む。
「…………、」
茫然とした様子で、ただ一点を見つめていると、ポツポツと雫の滴る音が聞こえてきて
「(…雨……___)」
星宮はゆっくりと立ち上がり、縁側へと向かう。
顔を上げると、厚い雲で覆われた空からは冷たい雨が静かに降り注いでいた。
立ち尽くすようにして、星宮が空を見上げていると、
『__…この天気じゃ、今日もお星様見えないねぇ。』
ふと、昔よく聞いていた…馴染みのある声が頭の中に響く。
『まぁ…でも、お星様より…綺麗なものが此処にあるから、___…母さんは、それで満足かなぁ。』
女はそう言って、柔らかく微笑みながら、手を繋いでいた子供の瞳を見つめていた。
「……、……___」
星宮が過去の記憶に浸る中、その記憶を打ち消すかのようにして、雨は次第に強さを増していった。
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作者名:雫 | 作成日時:2023年6月12日 2時