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その日の夜、任務を終えた不死川が屋敷へと戻ると、



「(…何だァ…、?向こうから物音が…。)」



静まり返った敷地内から物音が聞こえ、音のした方へと向かうと



そこには月明かりが差し込む訓練所で、ただひたすら剣を振るう星宮の姿があった。



「……ッ…、…___」



星宮は乱れた呼吸を整え、木刀を力強く握る。そして、



「風の呼吸…壱ノ型、__塵旋風・削ぎ」



凄まじい勢いで、竜巻のような技が星宮の剣から繰り出される。



しかし、星宮は動きを止めたかと思えば、短く舌打ちをして



「(…違う…、…アイツはもっと…こう____)」



試行錯誤しながら、真剣に剣と向き合う星宮。



しばらくした後で、星宮は一旦木刀を下ろし、息を切らしながらその場に立ち尽くす。



そして、ふたたび木刀を強く握りしめようとすると、



「オイ、…もうその辺にしとけ。」



背後から聞こえた不死川の声が、室内へと響く。



「…普段呼吸使わねェ奴が、そんな何回もやってたら…身体保たねェぞ。…俺らは身体が資本だァ、大事にしろォ」



星宮は特に返答はしなかったが、木刀を握る力を緩め、額の汗を拭う。



すると、星宮は自身の頭に何かが触れたような感覚を覚え、



「まだ何も教えてねェのに…、こんだけ出来れば上出来だなァ。」



振り返るとすぐ側には不死川が立っていて、星宮の頭を優しく撫でていた。



星宮はそんな不死川に対して、一瞬目を見開くが、すぐにいつものような不機嫌な顔をして



「…………触るな…、」



そう言って不死川から離れはしたが、以前のような強い抵抗はさほど感じられなかった。



その後、不死川は星宮に対して、



「…見様見真似でやるのもいいけどよ…、直接俺から習った方が習得早いんだがなァ……お前、何でそんなに稽古受けたくないんだァ…?」



そう聞くと、星宮は不死川にチラッと目を向けて



「…お前…理不尽に殴ってきそうだから、…。」



「はァ…?殴らねェよ、お前がふざけた事しない限りな。…とりあえず…今度時間合う時、稽古するからなァ。準備しとけェ、」



不死川がそう言うと、星宮はいつものように黙り込むかと思えば



「…分かった、」



そう一言告げて、その場から立ち去っていった。不死川は少し驚いたような顔をした後で、



「(アイツ…根は割と、素直なのかもなァ…)」



そんな事を思いながら、不死川も訓練所を後にし、屋敷の中へと戻っていった。

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作者名: | 作成日時:2023年6月12日 2時

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