星屑を掴む・弍【不死川実弥】 (ページ43)

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「私はお前のそういうところが、心底嫌いだ。…次触れたら、タダじゃおかないからな。___」

　
そう言って宇髄から離れ、その場を立ち去ろうとすると

「……不死川とは…まだ、上手くいってねェの。」

不意にそんな事を聞かれ、思わず足が止まる。

宇髄といい…嘴平といい…、鬼殺隊の奴等は本当に…お節介な奴が多い。

「アイツの事はもういい、私が…どれだけアイツを思っても、向こうが拒むのであれば…もう、どうしようもない…___」

___私なりに…離れてゆくアイツに対して、何とか歩み寄ったつもりだった。

任務の傍ら、アイツの好物を抱え、何度屋敷を訪れた事か。

『(今日も…いない…、…仕方ない…出直すか___)』

初めは、単に忙しいだけ…そう思っていたけれど、

何度も訪れるうちに、本当は屋敷に居て…無視されているんじゃないかと、…ふとそんな考えが頭をよぎった。

けど、アイツはそんな事する奴じゃないと…信じていた。だから、今度は手紙を書いた。

慣れない手前、拙い文章でありながらも…日々の何気ない出来事をそこに綴った。けれど、返事は一向に来る気配もなく

『(忙しいから…返事なんて書く暇ないよな…、)』

そんな理由をつけ、返事がない事に関しても…それほど気には留めなかった。

その後も、度々アイツを見かけた時は、話しかけに行こうと試みたが

…アイツは私が近づこうとすると、背を向けて、ふらっと何処かへ行ってしまう。

『(気づかなかった…だけ、…わざとじゃ…ない…。)』

正直…この時点で、アイツの態度に違和感を感じていたが、無理にでも…そう自分に言い聞かせていた。

けれど、そんな違和感が確信に変わったのは

『星宮』

今まで一度も呼ばれたことがなかった、苗字をアイツに呼ばれ、

『(きっと…コイツは、私と距離を置きたいんだな…、__)』

その時、ようやくアイツが私を避けていた事を自覚した。

ずっと信じていたのに、裏切られたような気分になり

苛立ちや悲しみ、…様々な感情が複雑に絡み合った。

けど、実際…アイツは裏切ってなどいなくて、

私が柱になるまでは、ずっと大事に思ってくれていた。温かい言葉も、優しい眼差しも…、嘘じゃない。

ただ…それらは、私が継子だったから与えられていただけ。

自分自身に向けられていたと、思い込んでいたのは私の勝手な解釈でしかない。

私が自惚れていた…、それだけの話。