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その後も、伊之助は星宮に対して
「お前…アイツの元継子なんだろ。前はいつもアイツと一緒に居て…二人共幸せそうだったって、しのぶが言ってた…それなのに、何で___」
すると、先程まで少し離れた所に居た星宮は、一瞬にして伊之助の目の前へと迫り
言葉を遮るようにして、伊之助の両頬を片手で強引に掴む。そして、鋭い視線を向けながら
「オイ…さっきの話、聞こえなかったか?…任務に関係のない話をするなと___」
星宮がそう告げる中、伊之助は怯む事なく、星宮の手を振り払って
「関係なくねェ。一緒に任務やるなら、仲間は大事にしないとダメだろ…お前もアイツも、他人みてぇなフリしやがって…、」
星宮は伊之助の言葉を聞き、黙り込んだかと思えば、下ろした刀をぎゅっと握る。
そして、視線を下へと落とし、寂しげな色を瞳に浮かべながら
「…私は…ずっと大事に思ってる…、アイツの事…___」
静かにそう呟いた後、星宮は伊之助に背を向け、何事もなかったかのようにして
「…行くぞ、嘴平。まだ鬼は残ってる、」
そう告げて、一人山奥へと足を踏み入れて行く。伊之助はそんな星宮の後ろ姿に目を向けると同時に、
「………、」
先程、星宮が見せた瞳の色が脳裏に浮かび、
それ以上は何も聞き出そうとはせず、星宮に続いて、山奥へと進んでいった。
そして、山に潜む鬼を全て片付けた後、星宮は刀を鞘へと収めながら
「嘴平、私は先に戻る。…アイツらと合流したら、そう伝えて置け。___」
伊之助の返答を聞く事なく、すぐさまその場から立ち去っていく。
…その数分後、現れた不死川は何やら苛立った様子で
「クソッ…何だァ、コイツ…、泣いたり叫んだり…静かになったと思えば、気絶してるしよォ……ッたく…、」
気絶した善逸を引き摺りながら、ブツブツとそう呟く途中、付近に星宮の姿がない事に気がつくと、
「…オイ、…アイツはどうしたァ、」
伊之助に目を向け、そう尋ねる。伊之助は少しの沈黙の後、静かに口を開いて
「…お前は…、大事に思ってんのかよ…。」
「はァ…?…何の話だァ…つーか…俺が聞いた事に、早く答え___」
すると、伊之助は不死川の言葉を遮りながら
「……大事に思ってんだとしたら…アイツに、あんな顔させンじゃねぇ。____」
吐き捨てるようにしてそう言い放った後、不死川から善逸を取り上げ
何処か苛立った様子で、伊之助はその場から去って行った。
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作者名:雫 | 作成日時:2023年6月25日 9時