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不死川は宇髄に目を向けて、



「___…とにかく、アイツのあの隊服何とかしろォ…嫁入り前の女が、あんなに肌出すモンじゃねェ。」



「そんなに心配なら、自分で言ってこいよ。お前の言う事なら、アイツ聞くだろうし…、」



宇髄はそう告げた後、少し考えるような素振りを見せてから、ふたたび口を開き



「そう言えば…お前と星宮が話してるの、あまり見なくなったなァ。お前ら…、何かあったのか?」



「……別に…、何もねェ。____」



呟くようにして、そう答える不死川の視線の先には



星宮の耳元で揺れる、翡翠色の耳飾り…ではなく、



海の深い青を思わせるような、紺碧色の耳飾りが映る。



「………、…___」



不死川は星宮から視線を外したかと思えば、そのまま背を向けて歩き出す。宇髄は立ち去ろうとする不死川に、



「…お前、いいのか?星宮と話さなくて。お前ら…前はもっとよく一緒に居て、仲良___」



宇髄がそう声を掛けるが、不死川はその言葉を聞き入れる様子もなく、颯爽と立ち去っていく。



そんな不死川の後ろ姿を目にし、宇髄がため息をつく中



甘露寺と話していた星宮は、ほんの一瞬振り返り、



『殺』と荒々しく刻まれた羽織を纏う、男の背中へと目を向ける。



「(視線…感じた気がしたけど…、そんな訳ないか___)」



星宮はすぐに、甘露寺の方へと視線を戻し



「それで…蛇柱とは、最近どうなんだ。上手くいってるのか、?」



「え…!?…っ…えっと…この前、一緒に甘味処に行ったわ…!それでね…っ!…そこで伊黒さんが____」



そう言って、頬を染めながら、楽しそうに話し始める甘露寺。



星宮はそんな甘露寺に対し、微笑ましい気持ちを抱くと同時に



「(そう言えば…前はよく、アイツの甘味巡りに付き合わされたっけ…、)」



「(今では…アイツと行くだなんて、考えられないな__)」



___ここ数ヶ月、星宮は不死川と殆ど口をきいておらず、



顔を合わせる機会があっても、お互い視線を逸らし、重たい沈黙が流れるだけだった。



星宮は先程視界に映った、不死川の後ろ姿をふと思い出し



「(アイツ…若干足、引き摺ってたな…ちゃんと胡蝶さんに診てもらってるんだろうか…。)」



そんな事を思いながらも、すぐさま考えを改め直して



「(…いや…、…もう心配する義理もないか____)」



視線を落としながら俯く、星宮の耳元では



青い煌めきを宿す耳飾りが、微かに揺れていた。

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作者名: | 作成日時:2023年6月25日 9時

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