最終話 ページ34
星宮は不死川の言葉に目を見開いた後、苦笑を浮かべながら
「私がどれだけ言葉を探し、紡ぎ出しても…お前のその一言には…到底かないそうにもないな…、」
「…お前から貰った恩も…その言葉も…、いつか倍にして返してやるから…それまで死ぬなよ。生きて…待ってろ___」
そう告げる星宮の言葉には、何処か意思の強さが感じられ、
不死川を捉えるその瞳は、澄み切った星空を思わせるかのような、美しい光を宿していた。
そして、星宮は一度離れた不死川の腕を取って
「それと…お前、何で見送るつもりでいるんだ。一緒に行くぞ、」
「一緒にって…、お前…もうガキじゃねェンだから、一人で行けるだろォがァ…。」
不死川が少し呆れたような表情を浮かべ、そう話す中
星宮はそんな不死川をじっと見つめた後、口を開いて
「『私がお前といたいから』…一緒に行く理由は、これだけあれば十分だろ。ガキとか別に関係ない、…ほら、行くぞ___」
そう言って、不死川の腕を引いて歩き出す星宮。不死川はそんな星宮の姿に目を向けて、
「(たとえ継子じゃなくなっても…、一緒にいる理由はそれだけあれば十分…かァ、___)」
口元から笑みを溢しながら、星宮と共に会議へと向かって行った。
＊＊＊
柱合会議にて、産屋敷が一通り話を終えた後
「先程紹介した…新しい柱も迎えた事だし、今後も益々君たち…柱の活躍を、心から期待しているよ。」
柱たちに向けてそう声を掛けた後、会議を終える前に、ふたたび口を開いて
「それと…今し方、新たな鬼の情報が入ってきた…この任務は、柱の力が必要不可欠だ。」
そう告げた後、産屋敷はとある方向へと身体を向ける。
「 翠柱、星宮一華 」
「この任務は…君に託そうと思う。よろしく頼むよ、__」
穏やかな眼差しを向け、産屋敷がそう告げる中
「 御意 」
星宮は産屋敷の思いに応えるようにして、言葉を返す。
凛とした力強い声が、その場に響くと同時に
翡翠色に煌めく星屑の耳飾りが、彼女の耳元で儚げに揺れた。
____いつか、貴方以上の言葉を、思いを返せるように
貴方が掴んでくれたこの手で、皆を…そして、貴方を護り抜けるように
決して色褪せる事のない、貴方との記憶を胸に刻み
今日も私は『翠柱』として、剣を振るい続ける。____
⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ fin.
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作者名：雫 | 作成日時：2023年6月25日 9時
