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その後、支度を終えた星宮は不死川の自室へと向かい
襖を開けると、そこにはこちらへと背を向け、縁側で腰を下ろす不死川の姿があった。
星宮はそんな不死川の後ろ姿を見つめながら、
「…おい、もうすぐ会議だ。お前、行かないのか。」
そう声を掛けると、不死川は背を向けたまま、静かに口を開き
「___あァ、そうだなァ……お前、先行ってろォ、俺ァ…後から行くからよォ」
そう言った後、付け足すようにして
「一応、言っておくが……お前、くれぐれもお館様の前で、不躾な態度取るんじゃねェぞォ…いいなァ、」
星宮はそんな不死川の忠告に対し、軽くため息をついた後
じとっとした目を不死川へと向けて、
「安心しろ、…私はかつてのお前みたいな態度を…お館様の前で取るつもりはない。礼儀をわきまえているからな、」
不死川はその言葉を聞き、一瞬身体が強張ったかと思えば、若干苛立った様子で
「………オイ…、それ誰から聞いたァ…?」
「宇髄。柱合会議の後…みんなから怒られた話も聞いた。…お前、普通にヤバい奴だな。」
「(宇髄の奴…余計な事言いやがってェ…、…)」
過去の話を持ち出され、不死川が何も言い返せずにいると、星宮は襖に手を掛けて
「…じゃあ、私は先に行く。お前、遅れるなよ__」
そう言って、部屋を出て襖を閉めた後
「(…………、)」
星宮は一瞬足を止め、視線を下へと落としながら、何か考え込むような様子を見せるが
すぐさま視線を戻し、玄関の方へと歩き出す。
星宮が出て行った後、不死川も会議へと向かおうとするが
「…………、」
なかなか立ち上がる気になれず、柔らかな日差しが降り注ぐ、外の様子をただ呆然と眺めるばかり。
…すると、こちらへ誰かが向かってくる足音が近づいてきたかと思うと
勢いよく襖が開き、不死川は思わず襖の方へと目を向ける。
そこには改まった様子で、不死川を見つめる星宮の姿があり
「……どうしたァ、?」
不死川がそう問いかけると、星宮は少しの沈黙の後
正座でその場に座り込み、膝の上で拳を軽く握りながら
いつになく真剣な眼差しを不死川へと向けて、
「 師範 」
「…貴方に、お伝えしたい事があります…聞いて頂けますか、」
そう告げる星宮に対して、不死川は一瞬、驚いたような表情を浮かべながらも
「……あァ、」
落ち着いた口調で一言返事をし、星宮からの言葉を待った。
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作者名:雫 | 作成日時:2023年6月25日 9時