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***



その後、支度を終えた星宮は不死川の自室へと向かい



襖を開けると、そこにはこちらへと背を向け、縁側で腰を下ろす不死川の姿があった。



星宮はそんな不死川の後ろ姿を見つめながら、



「…おい、もうすぐ会議だ。お前、行かないのか。」



そう声を掛けると、不死川は背を向けたまま、静かに口を開き



「___あァ、そうだなァ……お前、先行ってろォ、俺ァ…後から行くからよォ」



そう言った後、付け足すようにして



「一応、言っておくが……お前、くれぐれもお館様の前で、不躾な態度取るんじゃねェぞォ…いいなァ、」



星宮はそんな不死川の忠告に対し、軽くため息をついた後



じとっとした目を不死川へと向けて、



「安心しろ、…私はかつてのお前みたいな態度を…お館様の前で取るつもりはない。礼儀をわきまえているからな、」



不死川はその言葉を聞き、一瞬身体が強張ったかと思えば、若干苛立った様子で



「………オイ…、それ誰から聞いたァ…?」



「宇髄。柱合会議の後…みんなから怒られた話も聞いた。…お前、普通にヤバい奴だな。」



「(宇髄の奴…余計な事言いやがってェ…、…)」



過去の話を持ち出され、不死川が何も言い返せずにいると、星宮は襖に手を掛けて



「…じゃあ、私は先に行く。お前、遅れるなよ__」



そう言って、部屋を出て襖を閉めた後



「(…………、)」



星宮は一瞬足を止め、視線を下へと落としながら、何か考え込むような様子を見せるが



すぐさま視線を戻し、玄関の方へと歩き出す。



星宮が出て行った後、不死川も会議へと向かおうとするが



「…………、」



なかなか立ち上がる気になれず、柔らかな日差しが降り注ぐ、外の様子をただ呆然と眺めるばかり。



…すると、こちらへ誰かが向かってくる足音が近づいてきたかと思うと



勢いよく襖が開き、不死川は思わず襖の方へと目を向ける。



そこには改まった様子で、不死川を見つめる星宮の姿があり



「……どうしたァ、?」



不死川がそう問いかけると、星宮は少しの沈黙の後



正座でその場に座り込み、膝の上で拳を軽く握りながら



いつになく真剣な眼差しを不死川へと向けて、



「 師範 」



「…貴方に、お伝えしたい事があります…聞いて頂けますか、」



そう告げる星宮に対して、不死川は一瞬、驚いたような表情を浮かべながらも



「……あァ、」



落ち着いた口調で一言返事をし、星宮からの言葉を待った。

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作者名: | 作成日時:2023年6月25日 9時

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