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そして、迎えた柱合会議当日。
風屋敷邸では、いつもよりも騒がしい様子で
星宮の自室に訪れた数名の隠は、彼女を囲むようにして支度を進めていく。
「___おい、お前ら…支度に時間掛けすぎじゃないか?そんなに入念にやらなくても…、」
星宮が呆れたような表情を浮かべ、そう声を掛けると、隠たちは口を開いて
「そりゃ…時間掛けたくもなりますよ、何たって星宮様の晴れ舞台ですから…!」
「…出会った当初、暴言ばかりでガラの悪かった…あの星宮様が、柱になる日が来るとは…本当に喜ばしい限りです…!」
「おい、お前…それ悪口だろ。締め殺すぞ。」
星宮が隠をきっと睨みながら、物騒な言葉を投げかける中
隠は動じる事なく、慣れた様子でその言葉を交わし
「はいはい、…今から髪結うので、こっち睨まないで鏡の方向いて下さいね。星宮様、」
星宮は不服そうな表情を浮かべながらも、言われた通り、鏡の方へと身体を向き直す。
そして、髪を結い終わった後、隠のうちの一人が何かを抱えて持ってきたかと思うと
「星宮様、こちらの羽織…今日に合わせて私たちの方で御用意させていただきました。是非、お召しになってみて下さい、」
手渡された羽織は、鮮やかな濃紺を基調としたもので
羽織の裾には細やかな星々が、無数に散りばめられていた。
「……、…____」
星宮は羽織を見に纏い、隅から隅までまじまじと眺めていると、隠が口を開き
「星宮様、お似合いです…!サイズも丁度で良かったです…、お気に…召しましたでしょうか?」
そう問いかけると、星宮は少し気恥ずかしそうな表情を浮かべながら、
「まァ…いいんじゃ…ないのか…。……、…礼を言う…___」
「(星宮様…珍しく照れていらっしゃる…、可愛らしい…)」
「…おい、何笑ってるんだ…やめろその顔。殺すぞ、」
隠たちが微笑みながら星宮を見守る中、
そのうちの一人が何か思い出したような様子で、懐から小さな箱を取り出し、星宮へと手渡す。
「こちら、不死川様からお預かりしていたもので…就任祝いとおしゃっていました。どうぞ、お開けになってみて下さい。」
星宮は手渡された箱を開け、一瞬目を見開いた後
思わず口元からふっと笑みを溢しながら、
「(こういうのは…ちゃんと自分で渡しに来い、馬鹿__)」
そんな事を思いながらも、隠へと目を向けて
「おい、これも…つけてくれ。よろしく頼む、___」
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作者名:雫 | 作成日時:2023年6月25日 9時