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不死川はそう告げる胡蝶に対して、



「……お前に言われてもなァ…、…お前も対して俺と変わらねェだろォ」



「…………。」



不死川の言葉を受け、胡蝶の頭の片隅には、自身と同じ蝶の髪飾りを付けた、幼き少女の姿が浮かぶ。



胡蝶は重たい沈黙の後、静かに口を開いたかと思うと



「私は…あなたと違って、あの子を…継子にするつもりも無ければ、鬼殺隊に入隊させるつもりすらありませんから。…ご心配なく。」



そう言って、いつもの笑顔を貼り付ける。不死川はそんな胡蝶に対して、



「……お前にその気がなくてもよォ…向こうはどう思ってるか分からねェだろォ、」



「アイツ…よく屋敷の外で一人剣振るってるしよォ…、終いには…もう既に『花の呼吸』を習得して___」



不死川がそこまで言いかけた時だった。



胡蝶は薬の入った瓶を叩きつけるようにして、机上へと置き



「 不死川さん 」



「 手当て、…終わりましたよ。 」



静かな圧を放ちながら、にこやかな笑顔でそう告げる。



「………、…____」



不死川はそんな胡蝶に目を向けた後、無言で立ち上がり、



背を向け、診察室の戸に手を掛ける。



すると、背後から



「………私は…もう、…誰も…失いたくはない…、」



微かな憎悪と悲しみの籠った声が、診察室へと響く。



「…不死川さん…、あなたは…怖くはないですか…継子を…、彼女を…失う事が……。」



不死川はそんな胡蝶の言葉を背中で受け止めながら、



「(確か…胡蝶の継子は…、…___)」



かつて、胡蝶の下にいた継子たちが、鬼との戦闘で命を落とした事を思い出す。



不死川は少し考え込んだ様子を見せながらも、胡蝶の問いに返答する事なく



「………手当て…ありがとなァ、」



そう言って、診察室の戸を開け、その場を後にした。



その後、診察室に一人残された胡蝶は



「…私とした事が…、少し…感情的になってしまいましたね…、…____」



微笑を浮かべながら、静まり返る部屋でそう呟く。



机上の瓶は先程の衝撃で亀裂が入っており、



その隙間から薬が漏れてしまう前に、瓶を取り替え



「___…今日は…、どうされました…?」



自身の思いに蓋をし、いつもの笑顔を貼り付けて、次の患者を迎えるのだった。

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作者名: | 作成日時:2023年6月25日 9時

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