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不死川はそう言いながら、可愛らしい小花を咲かせる、かすみ草へと目を向け



指先でそっと触れた後、ふたたび視線を戻し、星宮をじっと見つめる。



「……?」



そんな不死川に対し、星宮が不思議そうな表情を浮かべていると



「まァ…俺だけが知ってればいいかァ…、……何でもねェ、気にすんなァ」



「は…?おい…さっきのどういう意味だ。早く教えろ、」



呟くようにしてそう告げる不死川に対し、星宮は怪訝そうな顔を浮かべ、問い質す。



不死川はそんな星宮の言葉を、交わすようにして



「つーか、お前…やっぱりこれ、拾った訳じゃねェんだなァ…ちゃんと花、選んでるじゃねェかァ」



「…………、」



そう声を掛けると、星宮は決まりの悪そうな表情を浮かべると同時に、そっぽを向いて黙り込む。



少しの沈黙の後、星宮は不死川に目を向けたかと思うと、いつものような口調で



「一応言っておくが…、それ食べ物じゃないからな。間違っても、毟り取って食ったりするなよ。」



「…はァ?ンな事、言われなくても分かるに決まってんだろォ…、お前…俺を何だと思って___」



不死川が言い終わる前に、星宮はスッとその場に立ち上がり、背を向けて



「じゃあな、私はもう行く。」



淡々とした口調でそう告げた後、勢いよく襖を閉め、部屋を後にした。



不死川はそんな星宮に対し、一瞬呆れた表情を浮かべながらも



「………、…____」



終始嬉しそうな様子で、手元の花を見つめるばかりだった。



一方、星宮は自室へと繋がる廊下を歩きながら



「(花…送るだけじゃなくて…ちゃんと言葉でも言えたら良かったんだが…、本人目の前にするとなかなか…。)」



そんな事を思っているうちに、自室へと辿り着き、襖を開ける。



すると、真っ先に部屋の隅に置いてある、自身の刀が目に入り



星宮は翡翠色の光沢を帯びる、刀を眺めながら



「(正式に、柱として迎えられるまで…あと一ヶ月…。…その後は、自分の屋敷を持って…此処を出て行く事になる…)」



「(……それまでには、ちゃんと…アイツに言うべき事を、面と向かって言えるようにならなきゃな…、____)」



密かにそんな思いを抱きながら、静かに自室の襖を閉めた。

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作者名: | 作成日時:2023年6月25日 9時

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