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【回想:不死川 実弥】



これは俺が鬼殺隊に入隊して間もない頃、



当時、鬼殺隊最強と称された『星柱』から稽古を受ける機会があった。



『___全く…、今季の新人隊士どうなっている。このレベルで、よく最終選別を突破出来たものだ…お前ら、悪運だけは強いようだな。』



突き刺すような視線をこちらに向け、威圧的な態度を放つ野郎の印象は、ハッキリ言って最悪だった。



…ただ、実力だけは本物で、



野郎から一本取る為、果敢に挑むも、返り討ちに合うばかり。



『(…何で一本取れねェんだァ…、クソッ…、…)』



稽古の休憩中、苛立ちながら野郎にやられた傷の手当てを行っていると



ふと、俺の隣に誰かが座ったかと思えば、俺の手から包帯を取り上げ



『____…手当て、やってあげるよ。見たところ…慣れてなさそうだからねぇ…、最近入隊した子かい?』



そう言って、柔らかい表情で俺を見つめる女の瞳には



まるで星空を宿したかのような、美しい光景がそこには広がっており、思わず目を奪われる。



『 どうかしたかい?…私の顔に…、何かついてるかい…?』



女の声にハッとし、思わず視線を逸らすと同時に



『いや…いい、これくらい…自分でやるからよォ…。』



そう言って、女の手から包帯を取り返そうとすると、女は俺に微笑みかけながら



『謙虚な子だねぇ、遠慮しなくていいんだよ。こう見えても私、手際いいからさ…。ほら…早くその傷、見せてごらんよ。』



『…………、』



何となく女の誘いを断れず、そのまま怪我の手当てをしてもらう事に。



手当てを行う間、女は俺の方へと目を向けて



『見たところ…歳は十五、六くらいかい…?まだ若いのに…、この歳で刀持って戦って…本当に凄いねぇ、鬼殺隊の子達は…。』



少し悲しそうな目をしてそう言った後、女は手際良く手当てを終わらせたかと思うと、



俺の頭の上にぽんっと軽く手を置いて



『あなた達がいるから…、私たちは…今日も穏やかに生活する事が出来る…。本当に、ありがとね___』



そう言って、穏やかな眼差しを向け、微笑み掛ける女を綺麗だと思うと同時に、



『………、…_____』



その女に何処かお袋の面影を、重ねている自分がいた。

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作者名: | 作成日時:2023年6月25日 9時

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