星屑を掴む・弍【不死川実弥】 (ページ21)

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(？？ side)

あの子に『星の呼吸』を使う才がない事は、最初から気づいていた。

それは私だけではなく、先代もまた勘づいていたんだろう。

だからあの子に代わる後継者を育てる為、新しい妻を娶れだの、養子を迎えろだの…妻を亡くした当初、散々そんな事を言われた。

…私は妻以外の女を愛すつもりも無ければ、素性の知れない子を育てるつもりも、さらさら無かった。

それに…仮にそんな事をすれば、この家であの子の居場所が無くなる事は目に見えていた。

此処に置いておく為には、どうしてもあの子を『星柱』にする必要があった。

その為に、日々稽古をつけてきたものの…あの子が『星の呼吸』を習得する兆しは全くもって見えず、

『(このままだと…一華は…、この家を追い出されてしまう…。それだけは…何としてでも、阻止しなければ___)』

そんな焦りが、次第にあの子に手を上げる事に繋がってしまった。

…気づけば、あの子が私に向ける目は、父親に向ける様な目では無くなり、親子としての関係はとうの昔に冷め切っていた。

たとえ、あの子に嫌われたとしても…あの子が強く成長し、此処での立場を確立出来れば、それでいいとそう思っていた。

そんな思いとはまた別に、

妻が鬼に襲われ、命を落としたあの日。

『(一華だけは…、護らなければいけない…。絶対に…妻のように、死なせてはならない…___)』

あの子に強くなって欲しい…と言う思いは、此処での立場を確立する為だけではなく、

ただ、純粋に…あの子には生きていて欲しいと、そう思ったからだ。

星宮の家に生まれたからには、あの子の鬼殺隊入隊は避けられない。

柱を務めたからこそ分かる、…鬼殺隊の任務がどれほど過酷で、残酷なものかを。

そんな中で、あの子がこれから生き延びる為には、強くなるしか道は無い。

………けれど、たまに…ふと、こんな事を思う。

あの子と同い年くらいの女子が、街中で粧している姿を見かけると

『(星宮の家に生まれなければ…、あの子もきっと…人並みの人生を歩めたというのに…、…)』

幼い頃から剣を握り、鬼を滅し、柱になる事を強要され

そんな一族のしがらみに囚われる、あの子を可哀想だと思うと同時に

それを強要し続けてきたのは、他でもない自分自身である事を痛感し

結局私は、あの子を護る為だと言い張りながらも、

一華の為になる事は、何一つしてあげられていなかった。