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男は沈黙の後、不死川に目を向けて



「此処では『星柱』になる事こそが全て、…それが出来ないのであれば、あの子は此処にいる意味がない。」



すると、男は強い力で不死川の胸ぐらを掴み、冷淡な声を浴びせながら



「……それ以外の柱になるという事は、此処でのあの子の居場所を無くす事に等しい。…お前はあの子が一生、星宮の恥だと揶揄され、後ろ指をさされてもいいのか?」



「不死川、お前が思っている以上に…一族のしがらみというのは根強い。それを知りもせず、分かったような口を聞くな。___」



そう言い放つと同時に、男は不死川から手を離す。



その後、苦痛の表情を浮かべ、咳き込みながらも



ふたたび、口を開いて



「まァ、その心配も…もう不要だがな。あの子はこの前、私が勘当した。……あの子が星宮の恥?そんな事、言われてたまるか。」



男は合間に舌打ちを挟みながら、そう言い放つ。



その後、淀みのない瞳で、ただ一点を見つめながら、



「先程お前は、私に『そこまでして、一族の誇りを護りたいか』…そう言ったな。」



「私は端から一族の誇りなど、どうだってよい。そんなもの、早く失くなってしまえばいいとまで思ってる。…私が本当に護りたいのは、___」



「___今も昔も、…一華だけだ。」



その言葉に不死川が目を見開く中、男は続けて



「…あの子を『星柱』にする為、随分と無理をさせてきた。…だが、そうでもしなければ…あの子は此処での居場所を無くす。『星柱』にする事で、あの子の立場を護りたかった。」



「………つい、最近までは…ずっとそう思い続けて来たが、お前の屋敷に出向いてから少し考えが変わった。」



男は呟くようにしてそう告げた後、不死川の方へと目を向けながら



「あの刀の色を見て、あの眼を見て、…あの子をもう一族の名で縛るのは…もう止めにしようと、そう思った。」



「それと同時に…、随分勝手な事を言っている自覚はあるが…今からでもあの子には、剣なんか握らずとも…普通の女子としての道を歩み、幸せになって欲しい。」



「……一族の誇りばかりを気にするような、こんな家に生まれなければ…あの子はもっと、自由に生きれたというのに…。」



男は視線を下へと落とすと同時に、拳を強く握りしめ



「……自分とあの子に流れる…星宮の血が、酷く憎くて堪らない…こんな血筋、早く途絶えて仕舞えばいい____」



思い詰めたような表情を浮かべながら、静かにそう言い放った。

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作者名: | 作成日時:2023年6月25日 9時

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