星屑を掴む・弍【不死川実弥】

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男は身体を起こしながら、不死川に目を向け



「……私はもうお前に構ってる暇などない。用がないのであれば、さっさと立ち去れ。」



そう言い放つ男に対して、不死川は少しの沈黙の後、口を開き



「…近々、お前の娘が柱になる。」



「アイツは、テメェみたいな星柱になる事は出来なかったが…毎日剣振るって、人一倍努力して…やっとの思いで柱の座を掴み取った、」



「そんなアイツの事を…少しは認めちゃくれねェかァ、」



不死川がそう告げた後、男は黙り込んだかと思えば、鋭い視線を向けて



「あの子を…一華を、唆したのはお前か？不死川、」



冷ややかな、低い声でそう言い放つ。



「………はァ、？」



言葉の意図が分からず、不死川が困惑した表情を浮かべる中、男は話を続け



「…あの日、何故私がお前の屋敷まで出向いて、あの子に会いに行ったか…分かっていないようだな…。」



「星宮の人間であるならば『星柱』以外の柱は、まるで何の意味ももたない。…あの日、会いに行ってようやく、あの子は星宮の姓を名乗るに相応しくないと判断した。」



男はそう告げた後、一呼吸置いてから、ふたたび口を開き



「それと同時に…『星柱』になれないのであれば、もうあの子は鬼殺隊にいる意味もない。だから刀を折り、実力の差を見せ、戦意を喪失させた。」



「そうすれば、自ら隊を下りると思ったが……何故、あの子はまだ鬼殺隊にいる？柱になるなどぬかす？…不死川、きっとお前があの子に余計な事を、___」



男がそう言いかけた時だった。



先程まで強く握った拳を抑え、黙って話を聞いていた不死川だったが、



我慢の限界を迎え、一直線に男のもとへ向かい、胸ぐらを掴む。



額にピキピキと血管を浮かび上がらせながら、男を睨みつけ



「……テメェはよォ…、一体何がしてェんだァ…？星柱になれだァ、鬼殺隊辞めろだァ……随分、勝手すぎやしねェかァ？」



「勝手に期待して、勝手に失望して…アイツの気持ち蔑ろにしてよォ…、」



「アイツよりも、一族の誇りの方が大事かァ…？そこまでして、テメェはそれを護りたいのかァ…？」



不死川が畳み掛けるようにして怒号を浴びせる中、男は表情一つ変える事なく



「 離せ 」



病人とは思えない力で不死川の腕を掴み、勢いよく払い除ける。



「…お前は本当に、何一つ理解していないようだな。」



男は目の前の不死川に鋭い視線を向けつつも、冷静な口調で、はっきりとそう告げた。

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