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(No side)
一方その頃、不死川はとある屋敷の前へと訪れており
「(もう二度と…野郎と会う事は無ェと思ってたが…、…___)」
不死川の視線の先には『星宮』の表札の文字。
意を決して、屋敷を訪ねると、中からは女中と思われる女性が一人出てきて
隊服を見に纏った不死川を目にすると、すぐに鬼殺隊の者である事を察し
「旦那様に御用ですね、…少々お待ち下さい。」
そう告げて、一旦、屋敷の奥へと立ち去っていく。
不死川は女中を待つ間、ふと辺りを見渡すと
棚の上に、伏せた状態で置かれた写真立てが目に入る。
不死川はそれを手に取り、裏返すと
そこには幼い少女と、その少女と同じ瞳の色をした、柔らかな表情で微笑む女性が写っていた。
「……！」
不死川はその女性を目にし、何か思い出したかのような表情を浮かべていると、先程の女中が玄関の方へと戻り
「…旦那様のもとへご案内致します。お上がり下さい。」
静かにそう告げ、不死川を屋敷へと招く。
屋敷の中は、息が詰まる程、しんと静まり返っており
真夏だと言うのにも関わらず、じわじわと背筋が凍るような、ひんやりとした空気感が屋敷全体に漂う。
「(アイツは…鬼殺隊に入る前は、此処で生活してたんだよなァ…、)」
無機質な中の様子を眺めながら、不死川はとある部屋の前へと辿り着き
「旦那様、お客様をお通しします…___」
女中がそう告げ、静かに襖を開ける。
薄暗い部屋の中から、冷たい視線が不死川に向けられたかと思うと、男は口を開いて
「___…鬼殺隊の客人と聞き、誰かと思い通してみれば…お前か、不死川。」
「相変わらず…気に食わない眼をしているな、お前は。」
そう告げる男の風格は、かつて柱として鬼殺隊を支えていたあの頃と変わりはしないものの
日の当たらない部屋の中、男は布団の上へと横たわり、
時折顔を歪めては、濁った咳をしきりに放つ。
衰弱した男のもとへ、女中が慌てた様子で駆け寄り、
「旦那様…！今すぐ、お医者様をお呼びに___」
男は女中の言葉に聞く耳を持たず、遮るようにして
「構うな。…お前はもう下がれ、」
吐き捨てるようにしてそう言い放ち、女中は男に言われるがまま、部屋を後にする。
その後、今まで黙って様子を眺めていた不死川が、口を開き
「……しばらく見ねェうちに…随分と、シケた面してンじゃねェかァ…先代星柱様よォ、」
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作者名：雫 | 作成日時：2023年6月25日 9時
