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鋭利な斬撃を繰り出し、空中から不死川に挑む中
対する不死川も剣を構え直し、空中から迫る星宮の姿をしっかりと捉え
「 風の呼吸、陸ノ型…黒風烟嵐 」
下方から巻き起こる風の如く、剣を振り上げる。
互いの剣がぶつかり合い、両者一歩も譲らない戦闘に持ち越すかと思いきや
攻撃に堪え兼ねた互いの木刀に亀裂が入り、
「「………!」」
折れた木刀の一部が、鈍い音を立て、床へと転がる。
星宮は舌打ちをした後、握っていた木刀から手を離すと同時に、床へと倒れ込み
「(クソ…、あと少しだった…木刀さえ折れなければ___)」
悔しそうに顔を歪めながら、握った拳を床へと叩きつける。
不死川は手元の折れた木刀を眺めた後、星宮のもとへ近づいて
「オイ、…テメェだけが悔しいと思うなよォ…これさえ折れなければ、確実にお前から一本取って___」
星宮はそう話す不死川に対して、被せるようにして口を開き
「お前…大人げないな、…普通あそこまで本気で来るか…?可愛い継子に一本取らせてやろう…って思いはお前に無いのか、この人でなし。」
星宮が不服そうな顔を浮かべ、そう告げる中
不死川はいつもの様に苛立った様子で、返答してくるかと思いきや
「……お前、分かってねェなァ、」
そう呟くと同時に、星宮のすぐ側へとしゃがみ込む。
そして、星宮の顔周りの横髪に、自身の指先を軽く絡めながら
「…可愛い継子だからこそ…、本気で相手しなきゃ意味ねェだろォ…手なんて抜いてられるかァ、___」
星宮は不死川の言葉を聞いた後、身体を起こして
「……つまり、お前アレか?好きな女、痛めつけて楽しむタイプだろ。…趣味悪いな、引いた。」
「何でそうなるんだァ…どういう解釈してんだお前ェ…、」
星宮の勝手な解釈に若干苛立ちながらも、不死川はその場にスッと立ち上がる。
そして、座り込む星宮に手を差し伸べ
「……立てるかァ、一華ァ」
星宮は差し出された手をじっと見つめた後、不死川の方へと目を向けて
「お前の手なんか借りなくても立てるが…、…まァいい。借りてやる、…___」
そう言って不死川の手を取り、その場に立ち上がる。その後、二人は肩を並べて歩く中で
「……お腹空いた、…戻ったら早くアレ作れ。アレ、」
「だし巻きなァ、…昨日も作ってやったってのに…飽きねェなァ、本当____」
そんな会話を交わしながら、屋敷の方へと戻っていった。
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作者名:雫 | 作成日時:2023年6月25日 9時