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星宮の瞳に、諦めの色が滲んだ時だった。
ふと、星宮の脳裏には以前、不死川に稽古をつけてもらった時の光景が浮かび
『___…いいかァ、一華ァ。…これから戦場に立つ中で、自分よりも確実に、強い奴を相手にしなきゃならねェ時がきっと来る、』
『そういう奴を目の前にした時であっても…絶対、敵から目ェ逸らすなァ、…しっかり剣握って、踏ん張って立てェ』
『早々に諦めようとすんじゃねェ、…今まで培ってきた自分の実力を…最後まで、信じてやれェ。いいなァ、___』
星宮は不死川のそんな言葉を思い出した後、
床へと転がる剣を取って立ち上がると同時に、顔を上げ、真っ直ぐな瞳で不死川を捉える。
不死川はそんな星宮に目を向けながら、
「…まだ諦めては無ェみてェだなァ、…テメェのその根性だけは認めてやらァ、___」
そう言って息を吸い込みながら、剣を構え
「 風の呼吸、弐ノ型…爪々・科戸風 」
星宮目掛け、鋭利な斬撃を打ち下ろしたその瞬間
「 翠の呼吸、陸ノ型…天翠・乱り風」
星宮が真正面から突っ込むようにして不死川に挑み、斬撃を弾き飛ばした後、剣を振り下ろして
「……根性だけじゃなく…実力も、全部認めてもらわないと気が済まない…とっとと認めろ、」
星宮はそう言って、振り下ろす剣の勢いを強める中
その攻撃を受け止める不死川は、思わず好戦的な笑みを浮かべ
「あァ…?…認めて欲しいなら、早くこの俺から一本取ってみやがれェ……まァ、絶対ェ取らせねェけどなァ___」
その後も、互いに攻撃を打ち合い、必死の攻防戦が続く中
「___…一華ァ、そろそろ体力の限界かァ…?随分と、呼吸が乱れてるみてェだがよォ…、」
星宮は息を荒げ、苦悶の表情を浮かべたかと思えば、一瞬にして不死川のもとへと迫る。
「(……ッ、…コイツ…いつの間に…、…!)」
剣を振り下ろし、微かに口角を上げながら
「…お前こそ…最初に比べたら、随分と感覚が鈍ってないか?…疲れたなら休んでいいぞ、大人しくおはぎでも食っとけ。」
「誰が疲れてるだァ…?全然、疲れてねェよォ…俺の方が圧倒的にお前より体力あるからなァ…、」
「………どうだか、」
星宮はふっと笑いながらそう呟いた後、不死川の剣を弾いて、一旦距離を置き
「(これで…決着をつける…、…)」
全神経を集中させ、深く息を吸い込む。
「 翠の呼吸、玖ノ型…___」
「 紫瀾翠緑 」
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作者名:雫 | 作成日時:2023年6月25日 9時