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風屋敷邸にて、
「翠の呼吸、玖ノ型____」
訓練所では、ただひたすら剣を振るう星宮の姿があった。
そこへ、足音が近づいて来たかと思うと
「…オイ、」
室内に不死川の声がはっきりと響く。不死川は手に木刀を握りながら、
「一華ァ、手合わせ…頼む。」
迷いのない、真っ直ぐな目を向けてそう告げる。
星宮は妙に改まった様子の不死川を、不思議に思いながらも
「……分かった、」
一言そう返事をし、木刀を握りしめながら不死川と向かい合う。
数秒の沈黙が流れた後、不死川は静かに口を開いたかと思うと
「……死ぬ気でかかって来い、いいなァ____」
そう告げると同時に、瞬時に星宮のもとへと迫り、剣を振りかざす。
星宮はそんな不死川の攻撃を剣で受け止め、流していくが
「………ッ、…」
次々と攻め続ける不死川の攻撃を、受け流す事で精一杯になってしまい、なかなか攻めの姿勢に入ることが出来ず、
「…オイ、どうしたァ…この程度かァ…?…既に余裕ねェって顔してんなァ、」
不死川はそう言い放つと同時に、星宮目掛け、勢いよく剣を振りかざす。
星宮はその攻撃を受け止めた後、不死川に対して
「…お前の目は節穴か?…何処の誰が、余裕のない顔してるってんだ、___」
そう言って、不死川の攻撃を木刀で押し返し、
一瞬にして不死川の目の前から消え、背後から剣を振りかざそうとすると、
「……テメェの動きは読めてンだよォ、」
不死川はそう呟くと同時に、深く息を吸い込み
「 風の呼吸、肆ノ型…昇上砂塵嵐 」
鋭い眼光で星宮を捉える同時に、荒々しい斬撃を繰り出す。
対する星宮は、そんな不死川の攻撃を瞬時に悟り、剣を強く握りしめ
「 翠の呼吸、漆ノ型…翠嵐 」
嵐のような突風を吹き起こし、不死川の斬撃を打ち消した後、星宮は瞬時に剣を構え直し
「 翠の呼吸、参ノ型…翠色冷光 」
煌々と輝く月のような光を帯びた屈強な刃が、不死川を狙う中
不死川は焦りを一度たりとも見せる事なく
「風の呼吸、壱ノ型…塵旋風・削ぎ 」
竜巻の如く、凄まじい勢いで真正面から立ち向かい、
「………ッ…、…!」
星宮の攻撃を打ち破り、その衝撃で星宮は床へと倒れ込んでしまう。
星宮は唇を噛み締め、手元に転がる剣に目を向けながら
「(…ッ、…やはり…アイツの技の威力には勝てない…か…?…今の私に、あの攻撃を上回る事なんて…___)」
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作者名:雫 | 作成日時:2023年6月25日 9時