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宇髄と不死川がそんな会話をする中
気づけば星宮は泣き喚く隊士と、目線を合わせてしゃがみ込み、隊士の涙を指先で拭いながら
「…いい加減、泣きやめ。せっかくの可愛い顔が台無しだろ…お前に何かあれば絶対助けに行く。約束する…、だからもう泣くな。」
そう告げる星宮の口調は、先程とは打って変わって穏やかなもので、
泣いていた隊士はピタリと涙を止めたかと思うと、ふたたび目を潤ませて
「一華ちゃん…。…あの一華ちゃんが…天然たらしみたいになってる…!!こんなの、いつもの一華ちゃんじゃないよぉ…!!」
別の意味で泣き出し、さすがの星宮も苛立ちを募らせ、刀に手をかけ始め
「は…?どういう意味だそれ…、…お前…いい加減にしないと、その口斬り落とすぞ、___」
そんな星宮を見て、もう一人の隊士が止めに入る…、そんなやり取りが繰り返される中
「…アイツら、派手に賑やかでいいな。俺も混ぜて貰いにでも、___」
興味本位で宇髄が星宮たちのもとへ行こうとした時だった。不死川はそんな宇髄に対して、
「やめろォ、野暮な真似すんじゃねェ。…行くぞォ、」
そう声を掛け、背を向けてその場を立ち去ろうとすると
不意に後ろから羽織を引かれる感覚があり、
「…何してんだァ…テメェはよォ、___」
宇髄の仕業だと思い、苛立った様子で振り返ると、そこには星宮が立っていた。
「お前…また随分と苛立ってるな…、…眠れてないのか…?酷い顔してるぞ、」
少し心配そうな目を向ける星宮に対して、不死川は先程の苛立ちを全く感じさせず
「…気にすんなァ、これくらい…なんて事ねェからよォ。…早くアイツらの所に、戻ってやれェ」
比較的落ち着いた口調でそう告げる。星宮はそんな不死川をじっと見つめた後、
「………今日は…帰ってくるか…、?」
視線を少し下へと落としながら、そう問いかける。不死川はそんな星宮を目にし、
「(そういえば…最近…立て続けの任務で、屋敷に戻れてなかったからなァ…、…)」
「…なるべく早く片して戻るからよォ…そんな寂しそうな顔すんなァ。」
穏やかな口調でそう告げると同時に、星宮の頭にぽんっと軽く手を置く。
対する星宮は、そんな不死川の言葉に身体がピクリと反応したかと思うと、
「別に…してないだろ、…とうとう強めの幻覚でも見え始めたのか、お前。ちゃんと寝ろ、」
「(こういう時は素直じゃねェんだよなァ…コイツ…、)」
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作者名:雫 | 作成日時:2023年6月25日 9時