4 ページ4
｢外に行っててください！｣
翔が売店から帰って来た頃、和也の病室は何だか騒がしかった。
｢何事ですか？｣
病室に入ると例の刑事2人が居て、和也はベッドの上でもがき苦しんでいる。
｢お兄さんも申し訳ございませんが外でお待ちになっててください。｣
処置の合間に看護師さんがそう言う。
翔は刑事と共に病室の外へ出る。
和也は真夜中に喘息発作を起こした。
吸入器をあててみるものの発作は収まらず、急いで病院に連れてきた。
熱も高く、酸素飽和度の戻りも悪く、入院することになった。
朝になり、和也の容態がようやく落ち着いた頃、翔は自分の朝ごはんを買いに、1階のコンビニに出かけた。
その間に、例の刑事2人が病室に侵入。
｢何しに来たんですか？｣
｢犯人が見つかりましてね。お詫びの意も込めてご挨拶しに来たんですよ。｣
｢ご挨拶って、、発作起こしてるじゃないですか。ふざけないでくださいよ｣
｢変なことは言ってません。ただ、『武田先生、つまりきみの担任と殺害された先生は恋人で、お金のトラブルがきっかけでこうなってしまった』と言っただけです。｣
私は何も悪くありませんよ。という顔で話した刑事。
｢た、、武田先生、？｣
｢はい。まだ詳しいことは話せませんが、いずれニュース番組で詳細が告げられるでしょう。｣
｢あの、報告するタイミング間違ってませんか？和は発作を起こして入院してる。そんなときに信頼していた担任が犯人だなんて報告、、、まさに泣きっ面に蜂じゃないですか。そんな事しないでくださいよ｣
｢和、大丈夫？｣
タオルケットに顔を埋めている和也。
｢苦しいんじゃない？俺しかいないから顔あげて。｣
｢げほげほげほっけほ｣
泣いては咳き込んで泣いては咳き込んで、、の和也は見るに堪えない。
｢大丈夫。大丈夫。｣
こんな時にかける言葉なんて用意してなくて、『大丈夫』という根拠の無い言葉しかかけてやれない。
こんな兄で情けないと肩を落とす翔。
｢にぃ、ごめん、もう大丈夫。げほけほっ、、なで肩悪化しちゃうから、自分を責めないで？｣
自分がどんなに辛くても相手を気遣う気持ちを忘れない和也。
｢ありがとう、和。｣
その優しさは、撫でた肩をさらに落とす、このかっこいい兄から学んだこと。
｢にぃもありがとう。｣
和也は自分にも聞こえないくらい小さい声で言った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 63人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
消費期限(プロフ) - ちえさんさん» ほんとに残念でしたよね〜💦二宮くんと太一くんのコメントがお兄ちゃんすぎて激アツでした😌 (9月5日 22時) (
レス) id: e1b4d7c7fb (このIDを非表示/違反報告)
ちえさん(プロフ) - DASH、見ました。あれは残念でしたね。時差で水量が増える川の怖さなんかも伝わると良いけれど。お話の兄弟たちも思いやりがあって、暖かいです。。 (9月5日 18時) (レス) @page32 id: 1ddc255e22 (このIDを非表示/違反報告)
消費期限(プロフ) - 個人的に、ほとんどの物事が『めっちゃいいな』より『なんか、いいな』ってのがベストだと思ってます。なので、智くんの曲流しながら読んで、そういう感想をもってくれたの、、とっても嬉しいです。 (7月24日 1時) (レス) id: e1b4d7c7fb (このIDを非表示/違反報告)
ちえさん(プロフ) - タイトルと同名の曲をBGMにして読みました。語彙力無くて申し訳ないけど『なんか、いいな』って感じた物語でした。 (7月23日 11時) (レス) id: a409136931 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：消費期限 | 作成日時：2023年7月15日 22時
