場地と私のダブり同盟【東京リベンジャーズ】

17.不意打ち ページ19

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人って本当にビックリするとひと言も声が出なくなるんだって。



昔、内緒話をするようにそんな豆知識を教えてくれたサオリちゃん。あの時、『いや絶対2文字くらいは声出るでしょ』って捻くれた受け答えしてごめん。



今、私以外誰もいないはずの教室に何故か松野千冬がいてさ。

もうね、ビックリしすぎて声が出ないどころか息すらできない。



場地と放課後勉強する日は、約束してるわけじゃないし日程なんて決まってなかった。でも、木曜日だけは毎週学校に残ってたから、今日もてっきりそのつもりだったのだけれどそう思ってたのは私だけだったみたいで。

「今日、被害者の会の日なんだよ」

ホームルームの最中にそう教えてくれた場地は、物騒な名前の会の割にどこか嬉しそうな表情で、浮き足立っていて。
聞けば月1回開かれるそれは、場地のストレス発散の場でもあるようで。変な奴に絡まれてるの？なんて聞ける雰囲気でもないからホームルームが終わった瞬間教室を去ろうとする場地に防犯ブザーを握りしめさせたのは、懸命な判断だったと思う。



場地がいないなら私が1人残って勉強する意味もない。でも明日の英語の予習を場地がしてくる気も全くしない。絶対明日私と場地の列指されるんだよな…。と数分悩んだところで大人しく教科書とノートを開いたのが多分20分前くらい。
1人だと案外早く予習は終わってそしたらなんか眠くなってきて。
気づけば私はペンを置いて上体を机に伏せていた。

窓越しに聞こえるサッカー部か野球部かの掛け声をBGMに微睡に片足を突っ込んだところで、ふと人の気配がして。
とっくに人が居なくなった教室で、そいつは私の前の席に腰を下ろしたようだった。しばらくじっと動かないそれに、相手は忘れ物をしたクラスメイトではないことくらいすぐわかった。未だに微妙な視線を向けられることも多いし、校内で絡まれることもあるから今回もその類かなと思って。



せっかく人が気持ちよく寝ようとしてたのに邪魔すんなよ、と思って苛立ちのままに顔を上げたら、そこにいたのがまさかの松野千冬だったのだ。

何で松野がここに…？
だって、松野って積極的に他人に関わるようなタイプに見えないし、そもそも本屋の一件で完全に私は嫌われることしたし。
というか、自宅謹慎終わってたんだ。
…兎にも角にも、松野の思考がわからなくて固まる私に、彼はただ視線を送ってくるのみだった。

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